徴兵制

シニカルな人がどういう言葉の使い方をするかを如実に示しているので、長いがそのまま引用する。(強調は引用者)

三浦: 小田さんはニートの問題は今後、どういうふうに発展してゆくと思っていらっしゃいますか?
小田: 有効求人倍率が一倍になったというのは非常に重要なことで、玄田有史さんたちが問題にしている失業問題としてのニートは減ってゆくということでしょう。 残るのは精神衛生の問題、メンタルヘルスの問題なんです。 これはたんに職業教育をやるだけでは解決しない。 短絡的に解決するには徴兵制度がいちばんいいけど、まさかそんなことをやるわけにはいかない。
三浦: 徴兵制度はぜんぜん解決にならないと思いますよ。 それは擬似的なものにすぎない。
小田: 解決しようと思えば、擬似的にでも解決したい。 イラクでも台湾海峡でも行って花と散って戦死してもらいたい
三浦: また極論だ。 そんなこというからみんなにやっつけられるんですよ。(笑)
小田: そういう話になっちゃうんですよ。 先日、麻生外務大臣が「ニュース・ステーション」で、「英霊の立場になって考えなきゃならない、戦死しても天皇陛下靖国にお参りに来てくれないのでは誰も国のために命を捧げなくなる」と言っていましたよ。
三浦: 恐ろしいですよ。
小田: こんな恐ろしいことを言っているのに、キャスターはそれを黙って聞いていたんですよ。 「あなた、国民に戦死してもらうために総理大臣は靖国参拝しているんですか」と、当然、尋ねてほしいところでした。
三浦: 「あなたは国民を安心して戦死させるために靖国神社にお参りしているわけですか」と確認すべきですよ。
小田: 確認すべきですよ。 そう言ったんですから。
三浦: でもそれは徴兵制復活というのと同じじゃないですか。
小田: まったく同じです。 でも、ぼくが徴兵制を復活させろなんて、いつ言いました?
三浦: いま言ったよー。(笑)
小田: 徴兵制を復活させればこの問題はヴァーチャルに解決すると言ったんです。
三浦: そうかそうか。 仮定ですね。 具体的に復活させろというわけじゃない。
小田: そんなことはできない。 だけど、曾野綾子さんが中教審で提案したことに、青少年に対するボランティアの義務づけというのがありますね。 そのくらいは許されると思います。
三浦: ボランティアの義務づけというのは字義矛盾ですよ(笑)。 自発的にやるからボランティアなのであって、義務的にやるのではボランティアにならない。



小田氏はこの対談で、「若者がヴァーチャルなものに行くのは良くない」という話をしていたのだが、みずからが「ヴァーチャルな解決」の夢想に取り憑かれている。