「いやだと思わないような人間を作らねば」

小田: でも、やはり地域共同体は重要だと思うんですよ。 (略) ニートの連中に関しては、準拠集団をつくらなきゃいけないし、準拠集団をつくるのをいやだと思わないようなオリエンテーションを与えていくべきだと思います。

準拠集団の自発的形成を模索するのではなくて、「外側からあてがわれた集団に反抗しない精神を作り出すべきだ」という話になっている。


そこで準拠すべき集団は、「常勤労働者の労働組合」らしい。

小田: 戦前の日本はいいとはいいにくいですね。 なぜかといえば戦前の日本は労働組合がない社会です。 労働組合がない社会は、下の人間の権利はほとんど尊重されない社会です。 だからぼくは、昔に帰れと言っているわけではない。
三浦: 新しいものをつくらなくてはいけない。
小田: 新しいものは、人間としてのぬくもりを尊重する社会だと思います。 それをなくしてしまうのが構造改革だ、と。 (略) 常勤労働者が企業への帰属意識をもつことができるような社会にしたい。 常勤労働者の比率が高い社会にしなければならない。

「共同体を作らなければならない」という規範がまずあって、「だから常勤者を増やせ」という順番になっている。 経済を顧慮していないことも含め、単純すぎて話にならない。
「人間としてのぬくもり」という言い方には、「誰も逆らってはいけない」という威圧を感じる。 ぬくもりを押し付ける人間にぬくもりは感じない。