自己愛性人格

小田: 石川弘義さん*1が、一九八〇年頃、自己愛性人格がとても増えているといっていました。 自己愛性人格というのは現代人のひとつの適応パターンだというのです。 自己愛者は、自分の才能とか魅力とかに誇大な幻想をもっていて、それが傷つけられるのを嫌がる。 だけど、嫌がって閉じこもっていては、誇大な自己実現がいっさいできなくなる。 そこでヴァーチャル・リアリティの中で満足させようとする。 それがいきなり外部に突出してしまうと、「ひきこもり突出型犯罪」になるわけです。

自己愛性人格障害」は、ひきこもりを論じるときに常に出てくるカテゴリー。
自己愛それ自体を、「無力さと再帰性過剰流動性)に対する症候的リアクション」と理解する必要がある。
私自身は、「それでは交渉関係において不利になるばかりである」という枠組みで検討するのが有益だと思う(後述)。





*1:ナルシシズムの時代』の訳者。