「ひきこもりは精神障害という誤解が根強い」

精神障害から連想されることを選ぶ質問では、「ストレス」(77・0%)が1位だったが▽「ひきこもり者」(58・7%、4位)▽「事件や事故」(53・1%、5位)▽「虐待や暴力」(51・9%、6位)も上位に入った。

すでに何度か論じてきたことだが、重要なので繰り返しておく。
上記記事の引用者である井出さんは「ひきこもりは精神障害ではないのだから、誤解を解く啓蒙活動が必要だ」と言っていて、これはたしかにその通りなのだけど、これは同時に「精神障害じゃないんだったら、働けよ」という動きをも生む。【ドキュメンタリー番組に出演していた長田百合子氏の口癖が「不登校・ひきこもりは病気じゃない! 甘ったれるな!」だったことに注意。】 ▼医学的には「病気ではない」という診断になるにもかかわらず、現実的には「障害を抱えた状態」であるというジレンマ。▼社会的に≪病気とみなされる≫ことには、「治療の対象となる」という(稲村博-東京シューレ的な)意味と、「休むことが許される」という(義務解除的な)意味と、両方がある。
国民の6割近くもが精神障害との関連で見ているということは、引きこもりを社会保障の対象として検討し得るということだろうか。――ちがうと思う(世論としても財源としても)。

  • 現実的には、「ひきこもり」特有の障害(不能状態)に対する独特の「訓練プログラム」を創出する必要があるのかもしれない。▼不況下で社会保障費が膨張している中、数十万人規模の予備軍を受容することは不可能なはずだ。「家族」という最後のセーフティーネットが崩れたとき、ひきこもりは「ストリート化」するのではないか。
    • ホームレスは現在「約2万5000人」というのだが、数十万人の「自立困難者」がその予備軍となっている。