番組上映

私は初見でした。私としては大事な情報が多かったり、個人的な言語訓練としても意味があると思うので、番組内容を少し詳しく書き記す作業をしてみます。

  • 冒頭
    • 21才男 : 「人間ロボットですよ」
    • 22歳女 : 「私の代わりはいくらでも居る」


  • 事例1:山端昭宏氏(21)
    • ファッション・アパレル関係希望/中学卒業以来定職経験なし/通信で高卒資格を目指す
  • 失業率が全国第1位の北海道(24歳以下は10%)
  • 請負会社*1が面接
    • 北海道で時給は平均700円/栃木で時給900円が見つかる(40時間残業で234000円)
  • 正社員雇用を手控える企業と、短期就労を重ねるフリーターとを請負会社がつなぐ。フリーターは請負会社の「短期契約社員となる。
    • 1つ1つの商品の寿命が短く、生産ラインが次々に変わる携帯電話メーカーでは、生産ラインを機械化していては採算が取れない。 → 極端に機械的な単純作業を、人間にしてもらう必要がある → 生産変動のたびに、何のスキル蓄積も生じない「短期の単純作業」への人員補充を、請負会社に頼むことになる。
    • 1人1人のフリーターは「タマ」*2として、生産ラインの都合に合わせその都度補充される。
  • 管理者のちがい:
    • 「派遣」:働く人は、勤め先の企業の下に入る
    • 「請負」:働く人は、請負会社の下に入る
  • めまぐるしく変わる生産ライン。当日の朝に、メーカー側から請負会社スタッフに「ライン変更」が告げられ、このスタッフがすぐさま現場に告知する。戸惑うフリーターたち。
    • ナレーション:「仕事をもらっている請負会社は、メーカーの要求は断わらない」
    • 「急な移動も、請負会社に一言いえば解決。 労働基準法で守られる『派遣』では、こうはいかない」*3
  • 事例2:橋掛輝人氏(35)
    • 札幌出身/ホテルや旅行会社など5社の面接を受けるが落ちる/ようやく請負で見つける
    • 橋掛さん : 「細かい仕事はイヤとか、朝眠いとか、若い子みたいに言ってられない」 「これ以上シタはない、上みて前向きにやる」
    • 手先は器用ではない。 親が、初めての独り暮らしを心配していろいろ送ってきてくれた。 自家製の、土のついた人参など。
    • 去年まで、橋掛さんは父親と運送会社を営んでいた。しかし不況下の競争の中、下請けまで降りてくる仕事は激減。 「1km走って90円」の仕事にしかならず、親子で働いて「1ヶ月7万円」にまで収入が落ち込む。 → 仕方なく息子が他の仕事へ。
  • 山端さん、9月1日に就労し、2つ目の工場で9月7日に解雇。
    • ラインで少し休んでいる時に注意を受けたが、注意者の言葉遣いに「カチンと来て」口論となり、パレットを投げつけてしまった。翌日、請負会社の担当者が寮まで説得に来て、「自分が悪いと認識してもらわないと困る。そうすれば再雇用の用意がある」と言うが、山端さんは「自分は悪くない」と言い張り、そのまま解雇。
  • ナレーション:「半数が、契約期間の半年もたずに辞めていく」
  • 請負会社はすでに1万社、1兆円産業
  • 行政の指導として、製造現場への人材派遣を解禁。 人員調整を請負会社に頼る。
    • 製造業に送り込んでいるフリーターは100万人を超える。
    • 請負会社スローガン : 「必要な時に必要な人材を」
    • 請負会社スタッフ : 「社会貢献してますよ」
  • 事例3:當野貴也氏(25)、妻・あゆみ氏(22)
    • 結婚した今もフリーターを辞めるつもりはない。「やりたい仕事が見つかるまで、妥協したくない」
    • 製造業現場での経験が豊富なため、メーカーとの調整やノルマ達成管理など、現場でのリーダー役を任せられるが、時給は他の人と同じ900円。
    • 「過労とストレス」(医師の診断)で38度の熱を出して寝込み、1週間近く仕事を休む。遅れを取り戻そうと張り切ってラインに復帰したが、担当製品の売れ行き不振で生産量が落ち込み、残業で稼ぐつもりだったのに、勤務時間が余ってしまうほどノルマが少ない。
    • 給料日。月に19日働いて(残業8.5時間)、「6万7000円」。前月より8万円減。将来の子供の教育資金なども考え、貯蓄もしたいのに、これでは貯蓄どころか取り崩し。
    • 請負会社側に「やめたい」旨を伝えると、「現場のリーダーに突然やめられては困る」と慌てられ、30分説得される。しかし「残業も合わせ、月収14万円前後と聞いて契約したのに話が違う」云々と抗議。 結局やめる。
  • 橋掛さん : 「職場を転々としていて、これでは将来につながる技能は身につかない」 「40歳・50歳になってまで『このまま』ってわけにはいかない」 → 親に相談しないまま請負会社の仕事を辞めてしまう。
    • 帰郷した息子に対して父親 : 「我慢するのが仕事だ」「あきらめるな」「逃げるな」云々と説教。 請負会社経由の雇用現場の実状が、父親にはまるで理解できないらしい。 黙って聞く橋掛さん。
  • 當野さんは、請負会社を通さず、直接工場に掛け合ってアルバイト雇用の形を得た。時給1050円。
  • 山端さんは帰郷後、工事現場の仕事を半月で辞める。実家に居づらくなり、今は友人宅に居候。
  • 橋掛さんは4ヶ月ぶりに本格的な就職活動。しかし請負会社窓口の男性から、「あなたの条件だと、非常に過酷なのが1件だけ」。車の組み立てラインで、ものすごい量の部品を立ちっ放しで取り付け続け、ノルマは1日に300台。担当者:「35歳*4というのは、製造業の現場のリミットなんですよね」




番組上映終了後、司会の樋口明彦氏が

の2点を焦点として挙げた。





*1:番組で映っていたユニフォームには「NIKKEN」という会社名が見えた。日研総業だろうか。

*2:請負会社スタッフの表現

*3:参照

*4:もうすぐ36歳と言っていたから、橋掛氏は私と同学年だ。