「ニート」と「ひきこもり」


「○○対策費」のからくり

 ニート対策費は、何も0円からいきなり231億円に増えたわけではない。 従来行っていた施策を「これはニートにも関係ある」ということでラベルを貼りかえただけの予算が半分以上を占める

なんと・・・・。



「受けがいい」

 なぜNEETなんて単語を厚生労働省は持ち出したのか。 うがった見方をすれば、それは流行語であり、しかもちょっと学術的でしかも横文字でかっこいいからだ。 海外での研究もあるし。 「ひきこもり対策」よりは「NEET対策」の方が圧倒的に世間の受けがいいだろう(もちろん両者は同一ものではないが)。 世間にいろいろアピールしなければならない役所としては、流行ものには食いついておく必要がある。 また、ひきこもりよりも直接的に「経済」に関わる問題である、若者と労働を直接結びつける概念である、というのも大きいだろう(「国の将来に関わる重要な問題(優秀な労働力の確保)である」=「だから厚生労働省が対策を打つ必要がある」)。 逆に言うと、「ひきこもり」は変な色が付きすぎて使えない、とも言える。



これは、――いやな言い方になるが――戦略上絶対に自覚しておかなければならないことだと思う。
先日のチャットでもそういう話が出ていたのだが、「ひきこもり」の業界内においても、「ニート」の単語が流通して以降、劇的に言論状況(少なくともその雰囲気)が変化したように思う。 これまでは≪内面の葛藤≫のみが語られがちで、「就労問題」と口にしても、「また『働け』というパターナリズムか」などと言われがちだった(「無理に引き出すな」云々)。 それが「ニート」以降、一気に≪就労≫を、それも≪社会的環境≫との関連において語り得るようになってきたように思う。