2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ある地方都市にて、講演会+交流会

いつも思うことですが、それぞれの地域で、ご自身の状況で取り組んでおられる支援者の方々は、まったく無名であっても、最先端の問題意識を持っておられることが多い。 マスコミに登場するのは、いつも「著名な知識人」ですが、こうした現場的なモチーフがう…

自分の順応事情を考え直す関係者としての「当事者」

【法令用語】(日英対訳) 「当事者」 「関係者」 「関係人」 こういう訳語で確認するとともに、私は「当事者」を、ほとんど「関係者」というのと同じ意味に積極的に限定しようとしている。 「当事者=弱者」として役割固定するのではなく、移り変わるお互い…

非人間的で、分析的な当事者発言

自分自身を説明すること―倫理的暴力の批判 (暴力論叢書 3)作者: ジュディスバトラー,佐藤嘉幸,清水知子出版社/メーカー: 月曜社発売日: 2008/08/06メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 87回この商品を含むブログ (30件) を見る以下、強調は引用者。 私が物…

『DSM-V』と、カテゴリー化

精神医学会で最も大きな影響力を持つDSM(精神障害の診断と統計の手引き)。 それを編集するアメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)のサイト「DSM-V: The Future Manual」より: A release of the final, approved DSM-V is expected in M…

大学との接点

2006年7月に参加させていただいたイベント(参照)が、パネラー参加された先生方の原稿とともに分厚い冊子になり、その原稿の多くがネット上でPDFの形で公開されています。 『立命館 言語文化研究』 19巻2号、「特集 アルチュセール・マラソン・セッション …

「何をすれば勤勉に取り組んだことになるのか」

就労問題やひきこもりに取り組もうとする事業そのものは、どうあれば勤勉であったことになるのか。 やっつけ仕事のアリバイづくりばかりで、膨大な予算が惰性で流れ込んでいます。 「勤勉さ」のスタイル自体が間違っている――そこから考えなければ。 ひきこも…

しごとをめぐる事業・メモ

■私のしごと館「館長からのメッセージ」: 私のしごと館においては、若い人たちが早い時期から職業に親しみ、自らの職業生活を設計し、将来にわたって充実した職業生活を送ることができるよう、様々な職業に関する体験の機会や情報を提供するとともに、必要…

「引きこもり相談窓口設置  厚労省が予算要求へ」(共同通信)

厚生労働省は23日、引きこもりの人や家族からの相談専門窓口となる「ひきこもり地域支援センター」(仮称)を来年度、すべての都道府県と政令指定都市に設置する方針を決めた。来年度予算の概算要求に関連経費を含め約5億円を盛り込む。 (略) センター…

「存在する」ことは、「属する」こと

「カフカの言葉」より: 「sein」という語には、ドイツ語で二つの意味がある。 《そこにある》と、《そこに属する》。 Das Wort bedeutet im Deutschen beides: Da-sein und Ihm-gehören.*1 ひきこもっていても、「属している」。 生き延びるためには、どこ…

「順応するためには、順応するな」

順応しようとすればするほどできなくなる、と感じている私にとって、「順応したいと思うなら、順応しようとするな」というのは、なまなましい意味を持つ。 順応するための臨床に、政治的分析*1が必要だと思うのは、そういうことだ。 大文字の政治的主張が先…

雑誌『ビッグイシュー』 第101号 発売中

斎藤環さんと私の往復書簡 「和樹と環のひきこもり社会論」、今号は私で、『役割フレームへのひきこもり』です。「逃げずに説得してみろ」という前便での問いかけに対しては、なるだけ直接的に答えようとしました。 しかし、それが最善だったのかどうか。 往…

症候的に回帰する労働としての、順応分析

環境を与えられたように見えても、順応できない。 「単に順応」しようとしても、どうしてもこの点に帰ってきてしまう。 「社会的排除」はマクロな政策課題だが、順応をめぐる苦痛臨床はマイクロ・レベルの課題になる。ここに失敗すれば、マクロに用意しても…

GYAOで『2001年宇宙の旅』を観ながらのメモ

冒頭 時間がゆっくりすぎていく 労働痕跡のほとんどない地表 物質を操作することで起こす変化(工学、物理) でも現実は現実のまま 愛着を持てない現実 私という場所で愛が実現しない 現象としてはどうでもいい 労働過程の編成・あり方(歴史的成果として) …

語る人じしんの順応

「順応の現象学」を研究する人は、自分が何に順応しているのかを語らないと。(現象学という順応) プロジェクトに自分が順応したことで、周囲の誰かが利用されたり順応できなくなったりしているかもしれない。 同席しているだけで、両者は何かに順応してい…

adapt

『プログレッシブ英和中辞典』より。 名詞形は「adaptation」。 【他動詞】 1. …を(必要・目的などに)適応・順応させる、(…に合わせて)変える ; …を(…するように)変更する ; (…用に)適合させる ; 《〜 -self》(新しい環境などに)順応する 2. 作…

映画「台風クラブ」

衛星放送でやっていて、全編を観た。 もう何度目だろう。 観はじめてすぐ、80年代の10代に引き戻され、ずっと泣きそうな精神状態になる。 ・・・・すべての場面が、画像の質感まで含めて、こっちの肉に食い込みすぎている。 うかつにこの映画について話して…

雑誌『ビッグイシュー』 第100号 発売中

斎藤環さんと私の往復書簡 「和樹と環のひきこもり社会論」、今号は斎藤さんで、『観客席に「臨床」はない』です。 斎藤さんとのすれ違いが、さらに決定的になってしまっています。 非常にデリケートで理解されにくい主張について、800字という字数制限で往…

「場所の分析」に対する排除――自己愛の蓄積

私がこれまでに接した多くの人たちは、とにかく前向きに学問や趣味に順応できればいい、順応できればその事情について分析なんかしなくていい、むしろ分析なんかしたがるのはお前ができないからだ、という。 彼らのプライドは、「すでに順応できている」とい…