才能、技法、環境条件――山田ルイ53世さんの場合

Wikipedia -髭男爵より:

山田ルイ53世(1975年4月10日 - )

 兵庫県三木市出身、六甲中学校に進学するが、中学2年生の夏頃から引きこもりになり、中途退学。大学入学資格検定を経て愛媛大学法文学部の夜間コースに入学。大学時代に友人と漫才コンビを組むも解散、大学2年の途中で退学し上京、東京NSC 3期生となる。



成功者がお話くださるのは、とても励みになります。
うまく行かなかった状況から、ご本人はどういうことを考え、何があったのか。
そこを誤魔化さずに言語化する人が、もっと増えてほしい。

 「ここは粛々と、ただただがんばらなあかん」という、生まれて初めての戦い方を覚えた(山田ルイ53世さん)

なるほど…


ただ山田氏については、努力もさることながら、「飛び抜けた才能があったから、うまくいった」という面もありそうです*1。→ 突出した体験談は、心情的な同一化で終わってしまいがちです。*2


そうなると、典型的な「生存者バイアス」になる。*3
スポットライトを浴びるのはうまく行った事例ですが、その陰には、似たような条件を持ちながら失敗した例が、数えきれないほどあるわけです。ですので、《なぜうまく行ったのか(逆になぜ破綻したのか)》については、ていねいに考えたい。


現実に成功例があることは、うれしい気分になりますね。
しかし議論としては、いわば《工夫のしどころ》や、
個人レベルではどうにもならない《環境条件の変更》について、
試行錯誤を重ねる必要があります。



*1:成功者が出現する確率で考えると、お笑いで成功するのは、受験よりも遥かに難しいはずです。▼逆にいうと、才能に合った領域でなら、受験よりもずっとうまくやれるかもしれない。

*2:才能ある有名人との同一化は、読者にとってキモチいいので、それで満足して終わってしまう。

*3:1980年代半ばから90年代初頭にかけては、学校に行けなかった人がその後に成功した事例がいくつも紹介されたのですが(フリースクールの案内パンフなどで)――実はその陰で、完全に引きこもる事例がたくさんあって、ここには光が当たらなかったのです。