「白田先生インタビューを一部再録―許諾についての考察」 (id:inflorescenciaさん)

先日私が苦しんだ「TV討論番組の文字起こし」に関連し、inflorescencia さんが白田秀彰さんとのやり取りを再録してくださいました*1
これはいい! まさに専門家のかたにお聞きしたかった内容です。 ありがとうございます。*2
勉強のメモとして、大事な論点を以下に引用させていただきます。

  • 焦点は、フェアユース
    • 著作権をもってる人(たいていは作品を作った人とか企業)に「お許し」をもらわなくても、使ったりできること。
    • 日本の法律上はそういう枠組みもないし、認識もされていないとのこと。


問い: 「制度を整えてフェアユースを確保するべきか?」
白田秀彰
 これはもう絶対確保すべきだと思います! あのー。 日本の情報産業がデットロック状態に陥っている大きな理由は、このフェアユースが全然無いってことで。 で、フェアユースって要するにさ「たったこんだけ使ったって別にいーじゃん!」ていう・・・。

問い: 「いわゆる『グレーゾーン』は白黒はっきりさせた方が良いと思うか?」
白田秀彰
 えっとね・・・法律やる人間からすると、白黒はっきりさせなきゃいけないわけですけど、効果的な価値からすると、白黒はっきりさせちゃまずいわけで、そのためにも是非フェアユースを導入した方が良いなと思います。




考え方の大枠として勉強になったのは、「*5」の文章

整理して図式的に引用してみますね。

  • 【概念法学】
    • (1) (実定)法は完璧で、どんな問題に対する解決も想定しているという前提に立って
    • (2) 具体的解決は、法律を分析したり解釈したりすれば、オールオッケー☆全部導き出せるのだから
    • (3) 裁判官は自ら法を作ったりすべきでない、問題を法律とかに照らし合わせることを唯一の課題とすべし!!というような考え方
  • 【自由法学】
    • 現実社会というのは多様だし変化もする…だから制定法では間に合わないのもしょうがないよねという認識のもと、現実に合わない法律を客観的に適用してもしょうがなくない?という主張

影響第一次的法源
大陸法(civil law)系ローマ法制定法(statute)
英米法(common law)系ゲルマン法判例法(common law)

いまの日本は、「概念法学」「大陸法系」とのこと。



こういう論点整理は、「ひきこもり」「ニート」のような
微妙で繊細な解釈を要求する議論にも必要だと思う。
正当化や批判の手続きについて。



*1:元のインタビュー記事は、「日本のネット上の著作権表示について

*2:最初は気付いていなかったのですが、なんと id:inflorescencia さんは、ネット上の著作権について扱ってらっしゃる方でした。