ジャンルの創造

 僕はいつも、野球というゲームを見ると感心してしまう。「よく出来ているなぁ」と。球1個と棒切れ1本で、あれだけ飽きない複雑なゲームが作られた。それは社会的承認を得て、うまい選手は何億円もの稼ぎを手にする。個々の選手に感心するというより、ゲームを作った人に感心する。
 イチローや松井が話題になっているが、彼らは「野球」というゲームがなければ、あれほどの社会的評価を得られなかったかもしれない。同じことが、他の分野のプレーヤーについても言える。学問でも、芸能でも、何でも。
 僕は「ひきこもり」の当事者かつ支援者という立場上、よくこのことを考える。才能は、ジャンルがなければ開花しない。とすれば、ジャンルを創造すること自体が、新しい潜在力のための社会事業ではないか。