適応という臨床課題

ひきこもりに関しては、各学問の専門性を踏襲しても、議題設定をまちがいます。 なぜなら、《順応すること》それ自体が問題になっているから。 「順応しようとすればするほどドツボにはまる」という主観性の委縮のほかに、
次のような指摘があります:

 僕は、「人間力」教育によって子どもを歪めるべきではないという意味で「人間力」が大切だと思います。 これは批判理論第三世代以降の言い方に従えば、「適応」訓練によって、特定課題への「適応度」の上昇と引き換えに「適応力」が落ちる現象です。 「適応」上昇による「適応力」低下は、生物学で「進化の袋小路」現象として知られます。 (『格差社会という不幸(神保・宮台マル激トーク・オン・デマンドVII)』p.87、宮台真司氏の発言より)

では、適応力を高めるにはどうすればいいか。


いま私が考えているのは、次の3つの絡まり合いです。

  • (A)主観性の方針
  • (B)合意形成の手続き
  • (C)技術的な環境整備
    • (C)によって(A)も(B)も劇的に変わる。
    • (B)には、学問や法律等の強制力だけでなく、メディア的な努力が要る。
    • (A)だけをフリーハンドで呼びかけてもどうにもならないが、テーマとしては必須。