欲望の文体

 id:hazuma:20030924を見ると、なにやら難解な技術論と、大下さなえさんという詩人の方のイベント情報がある。リンクをたどってみたが、技術論も、詩の世界も、僕にはまったく異質の世界で、とくにそこにどんな欲望が生きられているのかがまるで見えてこない。それだけ新鮮でもあるのだけど。
 技術論。あの文体は異様だ。専門用語(多くは頭文字の羅列)が膨大に出てきて、しかもそれらはきわめて平易な日本語の文体にのせられている。いわば口語表現にテクニカルタームがてんこ盛りの感じ。ああいう文体はパソコンやネットによって新たに出てきたのではないか。(昔の技術屋の言葉ではないと思う。)
 詩の朗読。詩、というあのあまりにも弱くて壊れそうな言葉の連なりに、自分の人生を賭けてもいいと思えて、かつそのエネルギーで人を集めてイベントまで打ってしまう。その執着心に、なんだか世にも珍しい植物に出会ってしまったかのような感慨と戸惑いを覚える。驚くのは、そのイベントがちゃんと盛況で人を集めているということだ。人々は、こういう壊れそうなものに丁寧な気づかいをみせるパフォーマーに、そこまで飢えていたのか・・・。
 いずれにせよ、僕の知らない欲望に信念をもって取り組む姿に僕は少なからず癒されている。何の欲望も持つことができずに殺伐とした狂暴さを抱えている「ひきこもり」の世界に、ヒントを与えてはくれないだろうか。