ひきこもり支援のサービス契約

ひきこもりの「支援」では、(1)本人、(2)親、(3)支援者 の三者で、思惑や立場がよくわからない。そもそも、本人は訪問などの支援サービスを望んでおらず、親が支援者に頼んだだけということも多い。そうすると、そのサービス契約は、「親と支援者の間で結ばれたものが、本人に向かう」という構図になる。ヘタをすると、「壊れた車を直してくれ」という話に近くなってしまう。
「100%本人の願望を満たす」ことが、最終的に本人の目指す状態を実現するとは限らない*1。 そもそも、金を払うのは親だから*2、親の意向は無視できない。
誰のどの欲望がどんな回路を通って実現されるのか。何がどうであればサービス契約の債務が履行されたことになるのか。その枠組みの線引きがいちいち難しい。各人の裁量に任されているはずの家族内の問題が、サービス契約の内容になっている。
たとえば、「一生働かずにいられるような環境を整えてくれ」という要望が、サービス契約の内容としてあり得るだろうか。もしそうであり得るなら、たとえばベーシック・インカムを実現するための活動は、長期的・間接的な「ひきこもり支援」として、投資や寄付の対象になり得る。



*1:閉じこもり続けたいと思っているのか、それとも何とか社会生活を送りたいと思っているのか、それすらも曖昧だ。

*2:サービス契約の直接の当事者は親だろう。