「アイデンティティ」(引用集)

「不機嫌な日常」(松浦大悟氏)のリンク先より。 すべて、上野千鶴子・編『脱アイデンティティ』への批判。(強調は引用者)


藤井誠二氏:

 上野さんが書くような、「被害者は、トラウマ的過去の一時点に、これも反復強迫のように立ち戻り続けることで、被害者という立ち位置に固定されるのだろうか」という問いかけは、当の被害者が中心となって議論をするべきである



伏見憲明氏:(柄谷行人世界共和国へ』からの引用)

 「たとえば、昨日の私は、今の私ではない。それらが同じ一つの私であるかのようにみなすことは仮像である。しかし、そのような仮像は生きていくために必要です。今の私は昨日の私と関係がないということでは、他人との関係が成り立たないだけでなく、自分自身も崩壊してしまう。だから、同一の自己が仮像であるとしても、それは取りのぞくことができないような仮像なのです」



宮台真司氏:

 むしろ昨今は、民衆が解離的であることを前提にした管理テクノロジー[人間がマトモでなくとも社会をうまく回す社会工学]こそが、不透明な権力(建築家的権力)を構成する時代になりつつあります。 「(弱者が)同一性を強いられる時代」から「(誰彼構わず)解離を強いられる時代」へと急変しつつある中、素朴な解離の賞揚は反動以外の何ものでもありません。