「取り返しのつかない、失われた過去」

 ひきこもり当事者の多くは、自分が過去に行なった選択について、「どうしてあんなことを・・・・」という耐えられない感覚を持っている。「取り返しがつかない、もったいないことをした」という感情に苦しんでいる。・・・・「そんなことない」と言い得るためには、やはり対話的関係への参入が必要ではないか。
 ひきこもり当事者は、ひきこもっていたゆえに、たいていは言葉がとても貧しい。だが、ひとまず参入してみること。そこでみずからの言葉の貧困さに徹底して直面して、そこからはじめてみること。・・・・それしかないと思うんだけど・・・・。「自分は貧しい」という感覚に焦ることは、とても生産的なことだと思う。