実名か匿名か

 興味深い書き込みありがとうございます。少しだけ僕の意見というかコメントを追加します。


 「当事者は匿名が当然」という空気になってしまうと、「ヒキコモリというのはやはり隠すべき恥ずかしいことなんだ」という前提が崩れず、実名者のニュース価値は上がる。逆に実名者がたくさん出てきて当たり前になると、それはもはや「カミングアウト」でさえなくなり、ニュース価値はなくなる。
 「名前を出すことで自分も変わりたい」という個人的動機も含め、「実名をあえて出すことでリスキーな状況自体を変えたい」と考えるのか、「実際にリスクがあるのだから、自分や家族を守るためにも匿名であるべきだ」と考えるのか。
 マスコミの利益に振り回される必要はもちろんないわけですが、もう少し大きな戦略的視点(というと大袈裟ですが)が必要な気がする。


 でも、今ネット上ではほんのちょっと明確な自分の意見を言おうという人は、みんな匿名ですよね(2ちゃんねるとか)。実名を出して意見表明を行なう人はほんのわずか。
 社会的にリスキーな同一性(「2ちゃんねらー」もその一つ?)を引き受ける人は、「差別反対」を叫びながらも匿名でいることが多い。
 やはり、「大多数は匿名でいく」という当たり前の結論になるんでしょうか。


 id:dokusha さんのご指摘にありましたが、視聴者の想像力は目の前に映っている人物に影響を受ける。たとえばヒキコモリ報道の初期にTVに頻出した「ゴロウさん」(渋谷区の大豪邸に住んでいる)などは、「ヒキコモリ」の一般イメージにかなり影響を与えた気がする。そういう意味では、「誰が登場してどんなことを言うか」はけっこう大事なのかも。
 NHK特番に登場した実名当事者たちを悪く言う書き込みをたまに見かけますが、出演する側にも非難する側にも、難しさを自覚している人は少ないかも・・・・。


 ほかの皆さんのご意見も伺ってみたいです。
【付記:本日分をアップする直前(かな?)に高尾さんからの書き込みが昨日のコメント欄に。高尾さんは去年7月のNHK特番でご一緒した方です。】