高野和明『ジェノサイド』

【※ネタバレ注意】

評判が高いので期待して読み始めたが、
3分の1もいかないうちにこれが左派のポリコレ談義であることに気づき、鼻白みながら読むことに。連載は2010年というから15年以上前、つまりこれからポリコレ全体主義がますます酷くなる時期に書かれてる。


気になったことを列記すると:

  • わざわざ韓国人を登場させ歯の浮くような美辞麗句で飾り立て英雄的な役割を負わせる*1
  • "南京大虐殺"についての本多勝一の主張をそのまま受け入れての描写*2
  • 高い知能を持つとされる登場人物たちが安っぽい心理学やポリコレ談義で悦に入る
  • ブッシュJr.がモデルと思しき権力者を極端な悪人として描く*3
  • その権力者を悪く描くために、アルコール依存であったことが強調される*4



さまざまな形で《大量虐殺(ジェノサイド)》が示されるものの、20世紀最悪の殺戮である《左翼政権による粛清》はほとんどロジックとして描かれない。というか、本作が権力者を《狂った獣》として描き、殺戮の対象にすべきであると論じるあたり、むしろ著者自身がまさに左派の殺戮ロジックを自明視しているように感じられる。核兵器廃絶を願う著者の平和主義に逆らう者は《狂った獣》だ、だから殺すべきなのだと。

飽きさせないエンタメ小説として優れていると思うが、その技法で見せつけるのがポリコレ談義というのが透けて見えてしまい、なんとも残念な感じに。



*1:その一方で、日本人のことは憎悪に取り憑かれた児童殺戮犯のように描かれていた(いちおうエクスキューズはあるが)。

*2:本多勝一の主張はデマだらけであることは周知のとおり。China共産党ですらもはや彼の主張を取り上げなくなってる。

*3:「権力者は悪人」という幼稚な反体制意識をベタに見せつけられ続ける

*4:アルコール依存への著者の見下しを強く感じた。ブッシュJr.が大量飲酒状態を(宗教的帰依を通じて)克服したのは事実で参照、それがそのまま本作の大統領の経緯として描かれている。