「こころの健康基本法(仮称)」 関連メモ

私自身は細部に疑問を感じているのですが、関連情報をメモしておきます。

こころの健康 政策構想実現会議 共同代表: 岡崎祐士



こころの健康基本法の法制化を求める国会請願署名72万筆提出集会」(PDF、2012年6月8日、こころの健康政策構想実現会議)

 2010年5月にまとめ上げたこころの健康政策構想会議の提言ですが、その実現を 求め「こころの健康基本法」の制定を求める国会請願署名活動を続けてきました。2012年6月6日(水)、「こころの健康基本法の法制化を求める国会請願署名72万筆提出集会」衆議院第2議員会館多目的室で開催し、請願署名を衆参両院の議員各位に手渡すことになりました。提出集会は、この間ともに法の制定を求めてきた団体が連なって「こころの健康基本法の法制化を求める市民の会」を組織し、開催しました。全国から参集した230名を超える当事者、家族、支援者などで会場は埋め尽くされました。また国会開会中のなか、多数の国会議員の方々が参加され、法制 定の必要性に言及する議員の発言が続き、会場は熱気に包まれ、基本法制定への期待の高まりとともに大きな一歩を踏み出した日となりました。



「こころの病」支える法律を 72万人の署名、国会提出へ」(2012年6月7日、朝日新聞

 市民団体「こころの健康基本法の制定を求める市民の会」は、精神疾患や引きこもりの家族らでつくる約130団体で構成される。2年前から、街頭などで署名を集めてきた。〔・・・〕 基本法の法案づくりは、昨年発足した超党派の国会議員76人による「こころの健康推進議員連盟(会長・石毛えい子衆院議員=民主)が進めている。

「碍」と「こころの健康基本法」」(2012年6月7日、tokujirouの日記)

 この市民の会の主要構成メンバーは

 の5団体です。 このほか賛同団体には全国の数百団体が名を連ねています。



反対声明も出た「こころの健康基本法」法定化の波紋」(2012年6月15日、池上正樹氏)

 しかし、(社)日本精神科病院協会などからは「既存の関係法の屋上屋を重ねるものだ」という反対声明が出されるなど、

 このような過程で作成された「こころの健康基本法案」の骨子は、次のようなものだ。
 「こころの健康」とは、「人が、個人として尊厳を保持し、精神的に充実した日常生活または社会生活を営むことができている状態にあること」だと定義。国や地方公共団体は「住民の需要にきめ細かく対応した施策の実施」や「こころの健康の保持に支障が生じることの予防及び早期の“気づき”を可能にする施策の充実」、「身近な場所において、サービスを受けられる体制の整備」、「サービスの提供を受ける者の人権に対する配慮」などを講ずるものとしている。
 また、地方自治体は、支援を行う拠点として「地域こころの健康環境センター」の整備を提言。「家族・養護者を支援する体制の整備」や「支援専門職の創設」、「専門家及び地域の生活に精通した支援者」といった「人材の育成」などをうたっている。



こころの健康を守り推進する基本法の制定を求める意見書」(平成24年3月23日、奈良県議会)

  世界保健機関(WHO)は、病気が命を奪い生活を障害する程度を表す総合指標障害調整生命年〈DALY〉: disability adjusted life years)を開発し、政策における優先度を表す指標として提唱しているが、この世界標準の指標により、先進国において命と生活に最も影響するのは精神疾患であることが明らかになった。



障害調整生存年数・ダリ(DALY)」(解説:池田光穂氏)

 クリストファー・マーレイらが提唱した、傷病や障害の程度や期間によって重み付けをした生存年数の指標。ダリの産出は以下の計算式による。

  • DALY = YLL + YLD
    • YLL とは、Years of Life Lost のアクロニムで、死亡数と(年齢階層別の)平均余命の積である。
    • YLD とは、Years Lost due to Disability の略語で、(障害発生数)×(障害の重度)×(余命の損失年数)

この計算式から一目瞭然で、ダリ(DALY)に対する批判は、障害の重み付けの恣意性ならびに障害後の余命に与える環境要因〔…〕などが考慮できないアバウトな指標であることがわかる。





精神科へ強制入院、家族同意不要に…厚労省方針」(2012年6月29日、読売新聞)

 家族の同意を外すのは、現行制度の原型を定めた1900年の法制定以来初めて*1。 また、入院中も患者の権利を擁護するため、患者が「代弁者」を選べる新たな仕組みの導入などを盛り込んだ、精神保健福祉法改正案を来年の通常国会に提出したい考え。
 医療保護入院は、入院治療の必要性を本人が理解できない場合、精神保健指定医の資格を持つ医師1人の診断と、家族(保護者)の同意で入院を強制できる制度。1年間で精神科に入院する約38万人のうち、14万人が同制度で入院している。



精神科への入院、原則1年以内に…厚労省が方針」(2012年6月29日、読売新聞)

 国内の精神疾患による入院患者は約33万人(2008年)で、約22万人が1年以上の長期入院だ。10年以上の入院も7万人を超える。統合失調症が多いが、近年は認知症も増えている。
 入院期間を短縮させるため、発症間際で症状が激しい患者に対応する医師の配置基準を、現在の3倍と一般病院並みに増やす。精神保健福祉士作業療法士など、退院支援に当たる専門職も置くようにする。



社説:「保護者制度の廃止 新しい精神医療を開け」(2012年7月14日、毎日新聞 )

 廃止後は、精神保健指定医の判断で入院治療を可能とする方向で検討されている。〔・・・〕
 現在は精神科への新規入院患者の6割が3カ月未満で退院していることを考えれば、〔・・・〕
 わが国の医療や福祉は親の責任や家族内の支え合いが非常に重く見られてきた。弱まってきた家族機能を社会全体で支えようという政策が民主党政権の特徴でもあり、そうした流れの中で保護者制度の廃止が浮上したともいえる。今後のわが国の福祉のかたちを占う上でも注目に値する制度改革なのである。





精神疾患加え「5大疾病」に 厚労省、医療計画で方針」(2011年7月7日、47NEWS)

 厚生労働省は7日までに、地域医療の基本方針となる医療計画に盛り込むべき疾病として指定してきた がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病 の四大疾病に、新たに精神疾患を加えて「五大疾病」とする方針を決めた。職場でのうつ病や高齢化に伴う認知症の患者数が年々増加し、国民に広く関わる疾患として重点的な対策が必要と判断した。




*1:cf.「精神保健福祉法制定の背景と精神科医療の歴史」(吉富薬品株式会社のサイト『eらぽーる』)