ひきこもる人を見捨ててはいけないか

「家を追い出す」という提案が現実味をもつためには、
ご家族や支援者に強制力のツールを与えなければならない。 現状では無理に追い出して死亡すれば刑事責任(遺棄罪)を問われかねない。 これは皮肉や当てこすりでなく、本気で検討すべきこと
「とにかく家を追い出せ、しかし死ぬことは許さない」というのは、排除のゲームとしても現実的ではない。 また全面受容の抱え込みは、不当であると同時に無理がある*1


無縁社会であり、お互いの生死に関心がない。 「関心を持て」とか説教してもどうにもならない。
私は、単に社会保障に期待したり、単に諦めたりするのではなく、自分たち自身の取り組み方を模索している。



関連資料

  • 「扶助を必要とする」の意義
    • A. 他人の扶持助力がなければ自ら日常生活を営むべき動作をできない(そのために生命・身体に危険がある)こと
    • B. 他人の扶助がなければ生命に対する危険から身を守ることができないこと

 要扶助状態の原因である「老年、幼年、身体障害又は疾病」は限定列挙*2。 【深尾正樹氏「「刑法II(各論)」講義 堕胎の罪/遺棄の罪」(PDF)より】


 保護責任者遺棄致死罪は、「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護」をせず、その者を死亡させたときに成立します。不作為による殺人と行為の態様が似ていますが、殺意を持って遺棄、または放置したような場合には、殺人罪が成立します。
 立件されているものの多くは、児童虐待または病気の親族を放置して死亡させたケースです。いずれも目をそむけたくなるような事件ですが、過去のケースではそれほど重い刑とはなっておらず、懲役2年から4年程度となっています(法定刑は3年以上の有期懲役です)。 【小児科医・大溝光弘氏「遺棄、保護法」より】


 判決は、まず、「保護責任は単に法令に基くもののみならず契約に因ると、事務管理に因ると、はた又社会一般通念に因るとを問わざるものと解すべき」と戦前の大審院判例を引用し、法令に具体的な根拠がなくても、社会通念によって保護責任が生じることもあるとしています。 【「弁護士小森榮の薬物問題ノート」より】




*1:ひきこもる人は数十万人いると見られている(参照)。 生活保護は捕捉率が20%と言われているのに(参照)受給者はすでに180万人であり、いくら被害者意識に居直ったところである程度の死者は避けられそうにない。

*2:限定列挙とは、「列挙されたもののみを指す」こと(参照)。