死をめぐる実情と、統計上の概念枠

「変死体」と自殺の関係について*1(NORMANさん)より:

 異状死体のうち犯罪によらないことが明白なものを除いたものが「変死体」と運用されているのだとすれば、高齢者の孤独死の一部も「変死体」に入りうるわけですから、これが「変死体の増加」の要因となっていると考えることはそこまで不自然なことではないかなと思います。

大阪市の「孤独死」事情」(週刊大阪日日新聞)という記事に、次の記述がありました。

 「孤独死」には法的に明確な定義がないため、警察庁では統計上では「変死」に分類しており、このため明確な統計数字は存在しない。

最終的に脳卒中などと判定されても、発見時の状態が「孤独死」であれば、統計では「変死」になるのでしょうか*2。――だとすると(NORMANさんもおっしゃるように)、高齢化やコミュニティの崩壊によって、「変死体」が増えるのは当たり前と思えます。
ひきこもりとの関連でいうなら、積極的に行動を起こそうとしない「なし崩しの孤独死」は、統計的にはどう考えても「自殺」とは言えませんが、実態は自殺にも思えます。 ひきこもるという行動そのものにも言えることですが、能動的であることと受動的であることは、そんなに簡単に分けられない。
そもそも「自殺」「変死」といった旧来の概念枠が、死をめぐる現代的な実態に対応しきれていない印象があります。



*1:一人で図書館などに通っていた私にとって、励みと参考になりました>id:NORMAN さん

*2:統計上の分類や言葉づかいの細かい事情については、直接取材して一次情報を得るまでは、こういう記事に頼るしかなさそうです。 ▼「統計はない」とのことですが、こちらの記事には、「東京都内で年間約5000人もが孤独死している」とあります。