《 学習 III 》

 学習IIの進行プロセス上の変化」であり、選択肢群がなすシステムそのものが修正される変化とされる。 (レジュメ)

「コンテクストの学習」を起こしたり、起こさなかったりを自在に調節できる。 学習 II の起こり方を調節できる状態。 かなりハイレベルといえる。
現象学で言うエポケー(現象学的還元)が可能であるとすればこのレベル。
人間のみがなし得るレベルであり、このレベルの学習を可能にしているのは「記号」(一義的)ではなく、言語(多義的)だろう。


ダブルバインド」は、母子関係のように、「そこから抜け出すことのできない関係の中で、矛盾したメッセージを受け取って板挟みになること」。 矛盾したメッセージであっても、そこから自由に抜け出せるならばダブルバインドとは言わない。
【例】統合失調症の若い男性のもとに母親がお見舞いに来た際、息子が肩を抱こうとしたが、母親は身を硬くした。 息子は「嫌われた」と思って身を離したが、母親は「私のことが嫌いなの?」と責め立てた。 つまり、言葉で発しているメッセージと、体で発しているメッセージ(メタ・メッセージ)が矛盾している。 ▼我々であれば、言葉よりはコンテクストを重視するため、言葉の上でどんなにいいことを言っていても、態度が悪ければ「これは嫌われているな」と判断する。 統合失調症の場合、「刺激」のレベルと、「刺激のコンテクスト」のレベルの階層性を理解できず、こうした状況に容易に混乱する。 それゆえ統合失調症の患者さんに対しては(というか、一般に人に親切にする場合には)、メッセージとメタメッセージを一致させ、わかりやすい態度を取る必要がある。
ダブルバインド統合失調症の「原因」とする考えはもはや支持されないが、統合失調症の患者さんが、こうしたダブルバインド状態に弱いことは事実。