貴戸氏の手続き上唯一疑問が残るのは、「初版出版前に奥地圭子氏に直接許可を取らなかった」ということだが、取材対象者の発言内容について、奥地圭子氏に検閲権限があるのだろうか。
貴戸氏は、第2版出版前には東京シューレから修正要求表を受け取っており、その上で現状の重版に踏み切っている。 つまり第2版の問題は、「許可を取ったか否か」ではなく、「シューレ側が同意できない解釈を主張している」ことである*1。
貴戸氏が削除・修正に応じて以後に当事者2名がおこなったクレームは、「手続きへの抗議」ではなく、「解釈レベルへの反論」でしかあり得ない。
以上を踏まえた上で、なお貴戸氏の「調査倫理」に問題があるとする者は、次のように主張していることになる。 (これは私によるまとめで、貴戸氏の見解ではない。)
「シューレ大学」の2名がどうして出版後に許可をひるがえしたか、その理由について本人たちに取材したかったが、今回はシューレ側に取材に応じていただけなかったため*4、断念した。