2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

斎藤環の「病因論的ドライブ」、宮台真司の「おまえ何様だ問題」などは*1、言葉だけを取り上げると正しく見えるが、概念そのものが、自意識誇示の生産スタイルを体現している。彼らの提出する概念を理解するだけで、自閉的生産過程のルーチンに巻き込まれて…

読書や聞き取りをすればするほど、私が引きこもり関係者で体験したトラブルは、そのまま他のジャンルでも繰り返されていると気づく。 固有名詞より、トラブル構造が重要。 「ひきこもりは社会のせいだ」では、すべて他人事。 「ひきこもり支援には現状の社会…

「ほとんど見たことがない」 ⇒ 「1割は発達障碍」

斎藤環氏は、数年前までは ひきこもり事例を20年*1、2000人以上みてきたが、発達障碍はほとんど見たことがない とおっしゃっており(参照)、これは業界内で際立って批判的な態度表明だったのですが、 最近のラジオでは、「全体の一割は発達障碍」とい…

主体性の様式

宇野邦一によるガタリへのインタビュー 「スキゾ分析の方へ」*1より(強調は引用者)。 私のしたことは、無意識の形成や主体性の生産を明るみに出すことを可能にするある種の《言表行為の集団的アレンジメント》(agencement collectif d'énonciation)を定…

《つながりかた》こそが問われている

既存社会を批判する人は、お互いを雇い合えるのか。 そこに自覚的方法があると言えるか。 影響力ある語り手は《つながりかた》の提唱者になっている。 しかし本人がそのことに気づいていない。 知識人は「資本主義的つながり」を批判するが、自分たちの《つ…

働き方=つながりかた

触媒労働と、「ひきこもり的労働」

1985年のガタリ来日時、全共闘の残党組を「愚鈍な左翼」とバカにする浅田彰と、ベタな活動家であろうとする平井玄のあいだに論争があった*1ことを受けて: 浅田も平井も、その後ガタリが期待したような分析装置=触媒装置(analyzer=catalyzer)を演じ…

関係に分析を実装できるか

臨床的趣旨と切り離せない、中間集団への取り組み(その意味でのソーシャルワーク)としての schizo-analyse。――そう連呼するだけでは、既存のダメ左翼と何が違うのか示せていない。 日本の知識人には、中間集団論が存在しない*1。 好みの西洋人をアイドルに…

制度的状況それ自体の治療・支援

国府台(こうのだい)病院のHPに、「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」がUPされています。 これは今後、行政系支援の基本指針となるはずです。 http://www.ncgmkohnodai.go.jp/pdf/jidouseishin/ ここには、硬直した主観性を内在的に主題化した…

主体化プロセスの、メタへの固着

メタ言説を万能化し、その枠内で成果を上げようとするばかり。 それゆえ、作業フレームを主題化できない。 メタ言説そのものが自意識の繭になっている。 主体化の努力は、「生産過程の身体性」をもつ。 硬直したフレームで、努力が疎外される。 いつまでたっ…

焦点をまちがった論争

ドゥルーズがフーコーについて語っている箇所より(強調はすべて引用者): 今度の本ではフーコーの思考の総体をさぐっています。 「総体」とは、ある水準から別の水準に移るようしむけるものという意味ですが、たとえば《知》の背後に《権力》を見出すよう…

ひきうけ直すことの破綻

ラカン『精神病〈下〉』p.159-160 より(以下、強調箇所は全て引用者による): 前精神病者に分析的に接近したとすれば、どういうことになるかを私達は知っています。 彼らは精神病者となります。 つまり見事な精神病が (・・・・) 少々熱心な分析の初期の…

産経新聞の連載 【さらば革命的世代】

第一部 (1)「全共闘の“革命”は何を残したのか」 (2)「元闘士であることを隠して…」 (3)「秋田明大「まだ何もしていない」」 (4)「ヘルメットかぶった日」 (5)「リーダーから皿洗いに」 (6)「女子学生闘士の「その後」」 (7)「カリスマ…

決定的なカギとしての《制度》概念

ガタリが死ぬまで勤務した精神科病院「ラボルド」の制度概念は、 すでにある議論の枠内であたらしい知見をつけ足す、というものではなく、仕事のフォーマットそのものを主題にしている。 けっきょくのところ、動きの中にある《制度》概念が伝わらなければ、…

【参照】: 《対格》について

中山元 「レヴィナスにおける哲学と宗教」より: レヴィナスはこの事態を accusatif という表現で示す。 accusatif とは、対格という文法用語であるが、この用語でレヴィナスは主体の受動性を強調しようとしているのである。 これをコギトという動詞形との対…

居直るのとは別の仕方で

「欲望」「衝動」と意訳されもするスピノザの概念 《コナトゥス conatus》 を検索していて出会った論考: 河村厚 「コナトゥスから戦争へ 〜レヴィナスのコナトゥス批判における「疚しさの欠如」について」 これを読んで、「20世紀のフランス思想というの…

「手に負えないことをやる」

「社会は殺すか殺されるか」と考えれば、ひきこもる家で殺意が起こるのは、むしろ常態がもたらされたと言える。 必要なのは、その主観性の生産のあり方に従ってルールと臨床指針*1を仕切り直すこと。 すでにあるものだけでは無理。 別の必要がもたらされてい…

《当事者化》の活動としての、《schizo-analyse》

『精神の管理社会をどう超えるか?―制度論的精神療法の現場から』p.133、三脇康生「精神医療の再政治化のために」より(強調は引用者): 従来、スキゾ分析とか分裂症分析などと訳されていた schizoanalyse という言葉も、今回は「分裂性分析」と訳しかえた。…

現象の鮮度

物質反応が反復されるのとは少しだけ違う何かが生じている。 過剰に神秘化するのも、過剰に粗雑に扱うのも間違い。 素粒子にも寿命があるらしい(参照)。 素粒子の反復だけなら、どれほど良かったことか(条件に閉じ込められたこの生を肯定できるか)。 現…

愛と反復

A.I. [DVD]出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ発売日: 2003/12/06メディア: DVD購入: 1人 クリック: 25回この商品を含むブログ (55件) を見る 二度目の視聴で、感想の部分的メモです(ネタバレ注意)。

パニック発作の体験記――『藤井誠二のブログ』より

「一昨年末から昨年にかけてぼくが経験(中?)した「病」について。」 「ぼくが経験した(中?)の「病」について その2」 「経験(中?)した「病」についての独り言。その3」

《縁》という言葉で何を前提にしているか

藤井誠二氏と石井政之氏の、twitter でのやり取りをヒントにしつつ(強調は引用者)*1: 藤井 社会的にひきこもっている若い人たちと個別にふだんメールでやりとりしているのだけど、彼らの「無縁社会に対する警鐘」に対してのリアクションに考えさせられた…

制度論と労働過程論

廣瀬浩司氏が抉り出したメルロ=ポンティの制度論(参照)は、マルクスの労働過程論に重ねられる。(マルクスの議論はすぐに「資本のもとでの労働過程」になるが) 「制度化されたもの(institué)」=「対象化された労働」(客体的労働条件) 「制度化する…

譲歩できない点

ドゥルーズ/ガタリが、自分の足元を分析する consistency*1の過剰性ぬきに持ちだされるなら、参照価値はない。 外国の知識人をスターとして祭り上げて自分たちの正当性を確認し合うだけなら、これまでの30年間と変わらない*2。『アンチ・オイディプスの使…