2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

廣瀬浩司氏の制度論

以下の引用は、 廣瀬浩司 『意識を治療すること 〜メルロ=ポンティの制度化概念とガタリの制度分析』(PDF)*1 より(強調はすべて引用者)。 廣瀬氏はフランス思想と現象学がご専門ですが(ご本人のHP)、単に文化左翼にとどまらない “臨床的な” 議論をさ…

法則 と 法権利――《loi》 と 《droit》

ピエール・ルジャンドル『ドグマ人類学総説―西洋のドグマ的諸問題』pp.11-12 より、西谷修氏の解説(強調は引用者): フランス語(だけでなくヨーロッパの言語)には日本語の「法」にあたる語が二つある。 ひとつは 《droit》、もうひとつは 《loi》 である…

業界の棲み分けが、臨床上の害になっている

『ドゥルーズとガタリ 交差的評伝』p.12 より: 彼(ガタリ)は、いまなら、超行動的な子どもに与えるレタリンのような薬を要するタイプだった。 原文はみていないが、ここで「超行動的」とあるのは多動性(hyper-active)、「レタリン」とあるのは多動性障…

家族主義的な抱え込みではなく

『ドゥルーズとガタリ 交差的評伝』pp.345-6 より(強調は引用者): 看護師としてのメアリー・バーンズは分裂症者としての《旅》をくわだて、死への退行を始める。 彼女が閉じこもる家族主義は、彼女が周囲の社会的現実を否定する方向に導く。 反精神医学は…

内側から問題にされた、つながりの作法

支援者もひきこもる本人も、政治的取り組みにならざるを得ない。 つまり党派性の問題は避けられない。 ひきこもる状態は、お互い滑稽なほど似通うのに「ひとり一派」*1。 仲良くなろうと “良心的になれば” 硬直した党派性を回避できるわけではない。 避けが…

社会参加とは、党派への参加?

親密圏にこそ制度的整備が必要

一家5人死傷で逮捕の長男、「借金で家族とトラブル」 「父親の通帳を管理」(リンク先に動画あり) 「引きこもりの容疑者、口論絶えず…5人殺傷」(読売新聞) 「無職(30)がインターネット解除されて激怒し家族刺しまくる」(アルファルファモザイク) 今回…

ひきこもりや「○○障碍」の周辺事情

(1)役割理論 (2)内側から取り組まれた、主体化そのものについての臨床プロセス (3)正当化の方針 この3つが内在的にリンクしている。 (1)と(3)をリンクさせて頭をひねる人は運動家にも医師にも学者にもたくさんいるが、 それが同時に(2)を含まね…

「別の主体化」という政治的臨床論

アンチ・オイディプスの使用マニュアル作者: ステファヌナドー,St´ephane Nadaud,信友建志出版社/メーカー: 水声社発売日: 2010/04メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 71回この商品を含むブログ (15件) を見る わかりにくいところも同意しづらいところもあ…

事件現場清掃人が行く作者: 高江洲敦出版社/メーカー: 飛鳥新社発売日: 2010/04/08メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 40回この商品を含むブログ (7件) を見る 今ここにいる私は死ぬ前の体液。 と考えるとラク。 勤勉になれる。 【追記】 人間ではないもの…

触媒のレベルにあるものを抹殺する居直りに激しく怒っている。 問題設定のしかたが問題の元凶だ。 「これが問題だ」と語り始めた時点で選択は終わっている。 《つながりの作法》というモチーフの物騒さに誰も気づいていない。 あなたの語り口が押し付けてい…

関係性のオブジェクト・レベルにある記述行為

NHKブックス別巻 思想地図 vol.5 特集・社会の批評作者: 東浩紀,北田暁大出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2010/03/25メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 38人 クリック: 888回この商品を含むブログ (60件) を見る北田暁大(きただ・あきひろ)、佐藤俊…

最近は、可処分時間をできるだけ読書と語学にあてています。 生活者としての批評意識のなさが臨床的苦痛に直結している。 リアルタイムに生きる批評意識の涵養が必要。 「○○学」は参照項でしかない*1。 特権化する当事者枠より、状況内での当事者能力が求め…

ひきこもる人を見捨ててはいけないか

「家を追い出す」という提案が現実味をもつためには、 ご家族や支援者に強制力のツールを与えなければならない。 現状では無理に追い出して死亡すれば刑事責任(遺棄罪)を問われかねない。 これは皮肉や当てこすりでなく、本気で検討すべきこと。 「とにか…

分岐点

杉万俊夫「人間科学における主観的言説の重要性」(PDF) 一次モードとは、いわば素朴実在論的に現象の過去、現在、未来を把握し、協同的実践を推進するモードである。 ここで重要なことは、一次モードの協同的実践は、必ず「気づかざる前提」に立っていると…

「おばちゃん問題」

先日お会いしたフランス人女性 A.A. 氏(参照)が震源地となって、「おばちゃん問題」の静かな恩恵が続いている。 以下は知人との議論を経たメモ。 《おばちゃん》はふつう、「分析が通用しない」「センスがない」「あつかましい」「性的魅力がない」など、…

http://short.to/21ubq 「サイト・スペシフィック問題とマチエール問題はいっしょ」と東浩紀が言ったら、村上隆が大声をあげて「いいこと言った!」 美術業界で言われている「オタク」をめぐる問題を、《当事者》に置き替えて論じる必要を感じる。自分たちの…