2009-08-14から1日間の記事一覧

解剖率の地域間格差

海堂尊『死因不明社会―Aiが拓く新しい医療 (ブルーバックス)』(p.75)によると、行政解剖の件数は、監察医制度のある地域では 東京23区内:約3000件、 横浜市:約3000件、 大阪市:約1000件、 神戸市:約500件、 名古屋市:8件 名古屋に…

2種類ある行政解剖――強制力の有無

やや長くなりますが、現役の病理医でもある海堂尊氏の『死因不明社会―Aiが拓く新しい医療 (ブルーバックス)』より、監察医制度の説明を引用してみます*1。 対話している「白鳥圭輔」(厚労省の役人)と「別宮葉子」(新聞記者)は、いずれも海堂氏の小説に登…

死因特定の誤診率について

海堂尊『死因不明社会―Aiが拓く新しい医療 (ブルーバックス)』より: 日本警察の「死体検索」システムの土台は、いまだに体表観察の「検視」だ。最先端の医療機器で高度な診断を行う時代に、「死体検索」は昭和24年に死体解剖保存法が制定されて以来、全く…

医療行為と異状死

「異状死」は非常に幅広い概念ですが、 医師の診療中に “予期せぬ死” が起こった場合、「それも異状死だから届け出よ」としてしまうと、現場が委縮して診療できないじゃないか――ということで、医師法21条には論争があるようです(参照)。 2004年(平…

「異状死」「変死」の辞書上の定義

NORMANさんのまとめにない文献から、いくつか引用します。 それぞれ、語句の横に英訳単語が記載されているのですが、異状死も変死も「unnatural death」となっています。 こうした概念枠の設定じたいに、行政や政治との関係にある「仕事の事情」が、表現され…

死をめぐる実情と、統計上の概念枠

「「変死体」と自殺の関係について」*1(NORMANさん)より: 異状死体のうち犯罪によらないことが明白なものを除いたものが「変死体」と運用されているのだとすれば、高齢者の孤独死の一部も「変死体」に入りうるわけですから、これが「変死体の増加」の要因…

以下、引用部分の強調はすべて引用者によるものです。