2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

現場の解離、思想の解離

同じ9月28日に京都であった2つのイベントを、続けて聴きに行った。 「MAXI GRAPHICA/Final Destinations ■ 「活動形の版画はいかにして可能か?」」*1 現代美術に関するトークショーに参加したのはこれが初めて。 私としては、自分が消費者としても作り手と…

紛争への合流

社会参加とは、「自分をきれいな製品として売る」ことではなくて、「紛争に合流する」こと。 キレイゴトの社会参加論は、建前と実態のかい離すら論じられない。 社会参加が継続するとは、実態の部分で絡み合いが続いていくこと。そこにこそ分析が要る。 分析…

歴史的・身体的に生きられる《制度》

『メルロ=ポンティ・コレクション (ちくま学芸文庫)』掲載、「個人の歴史と公共の歴史における《制度》」*1より(強調は引用者): 《制度》という概念に、意識哲学の難点の治療法を探してみよう。 (略) 主体が構成されたものではなく、制度化するものであ…

「雲の上から小便」――自分の中間集団の作法を自覚しない

私たちが、意識的に何か努力していこうとするときの、「こういう方向で努力していればいいんだ」という思い込みも、歴史的な枠組みをもつ。 「○○とは何か」を考えるときの発想法。目の前の上下関係。何をどうすることが「社会に順応している」ことになるのか…

「現実を受け止める」という視点から、映画二本のメモ

『あなたになら言える秘密のこと [DVD]』(原題The Secret Life of Words*1、2005) 『田園に死す [DVD]』(寺山修司、1974) 犯罪、粛清、戦争――何億人も理不尽に死んでる フツーの人生送ってきた奴が自分の体験を回想して本にする 何のために? 素材化して…

《制度》という概念について

「『医療環境を変える』 編者による解説」(井上リサの臨床美学研究室) 本に掲載されている「はじめに」を、やや短くしたような内容。 一部を引用してみます(強調は引用者)。 精神医療の現場では芸術療法や作業療法という名前の療法が存在しているが、そ…

「「ひきこもり外来から」講演会ご報告」(NPO法人京都オレンジの会)

新潟県医療法人 水明会佐潟荘副医院長・精神科医 中垣内正和(なかがいと・まさかず)氏 の講演記録。 23年のひきこもり青年 享年40才・・・ アンパンだけで生きてきた彼は、歯をなくし、栄養障害を引き起こし筋肉が落ちたために背骨を骨折。 病院にくるが、…

制度分析と法学(メモ)

制度分析をともなう「制度を使った方法論」では、単なる制度順応ではなく「適切な制度逸脱」が求められる。 しかしそれがお互いに影響しあう社会で、集団が運営される手続きはどうなるのか。 メルロ=ポンティ、ガタリらが注目した《制度》という概念との関係…

帰宅、御礼

京大会館での、「制度を使った精神療法」イベント(参照)から帰宅。 行く前より元気になっている。 いま、日付が変わって21日の午前1時前。 タイムスタンプを押して、記録を残しておく。 《制度》という言葉と、そこで出会わせていただいた方々との(分析を…

雑誌『ビッグイシュー』 第103号 発売中

斎藤環さんと私の往復書簡 「和樹と環のひきこもり社会論」、今号は私で、『「読み合わせ」という社会参加』です。 このままでは連載をやめる、と前便で宣言されたのですが、全霊を込めてお返事しました。*1 本屋さんでは売っておらず、すべて立ち売りです。…

シンポジウム 「<ひと>を守る――日本の精神医療と制度を使った精神療法」

病を癒すには、まず医療をめぐる環境を癒してからでなければならない――。度重なる医療改革や病院機能評価によって、ますます硬直しつつある現在の医療・社会システムに風穴をあけ、<人>が癒える場所を取り戻すために何が可能なのか。医療実務者と思想研究…

「今週の注目新刊:『医療環境を変える』」(月曜社の『ウラゲツ☆ブログ』)

先日質問などを記した本(参照)の、詳細な紹介記事です。 私は、ラカン理論に依拠する斎藤環さんに*1、制度分析的な問題意識を提示して怒りを買ってしまったのですが(参照)*2、本書での立木康介氏の論考によると、ラカン派の「応用精神分析」の現在が、「…

日常そのものの責任

macska さんのエントリーより、メモ: …さんが最も問題としているものは、批評として発表されるべきものであり、裁判で争われるような種類のものではない。けれどもそれは、それが裁判で取り上げるほど深刻なものでないということではなく、むしろ「裁判に訴…

新刊: 『医療環境を変える――「制度を使った精神療法」』

医療環境を変える―「制度を使った精神療法」の実践と思想作者: 多賀茂,三脇康生出版社/メーカー: 京都大学学術出版会発売日: 2008/08/30メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 429回この商品を含むブログ (80件) を見る 【出版元の紹介サイト】(細かい目次…

嗜癖化は、「場所の危険」を主題化しない

斎藤環は、洗脳されていることを問題にしない、「順応状態への嗜癖」を勧めている。むしろ、積極的に「洗脳されろ」と(参照)。被洗脳推奨としてのひきこもり臨床*1。 彼は、オタク的没頭やラカン理論への信仰を告白する。ガジェット遊びを推奨するだけで、…

力の使い手になれない人が無理に社会参加することのヤバさ

社会参加するとは、権力に巻き込まれるということ 支援対象者は、社会に順応するより前に、まず支援メニューに順応しなければならない。 それぞれの団体や支援者は、一つひとつが「思想=権力」を生きている。 どんなにフレンドリーな関係にも、見えない枠組…

雑誌『ビッグイシュー』 第102号 発売中

斎藤環さんと私の往復書簡 「和樹と環のひきこもり社会論」、今号は斎藤さんで、『あなたは、本当にこの連載を続けたいのですか?』です。 斎藤さんが何を書いてしまっているのか、ぜひご自身で読んでみてください。 本屋さんでは売っておらず、すべて立ち売…