2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

交渉の体質

秋葉原の事件で、犯人が「派遣労働者」ではなく「ひきこもり」でしかなかったら、世間や政治はどう動いただろう(参照)。 既存の問題構図に事件が利用される*1。 本当に弱い立場にいる人間にとって、声を届かせる方法は「人を殺す」しかないのか。 ぜんぜん…

制度と実存の解離

慣習・学問・法人など、制度的なものが既に営まれているとして、そこに入っていくことができない。 先方の拒絶によって、また自分を絡ませられないことによって。本を読もうとしても、拒絶の力のほうが強い。 ひきこもるとは、政治的格闘から撤退すること。 …

みずからの当事者性こそが拒絶されている

アントナン・アルトー、ジャン・ジュネ、中上健次などが、80年代の「当事者」言説として持ち上げられた。そのいきさつに問題はなかっただろうか。 「当事者性をアリバイにするメタ言説」と、「メタであることをアリバイにするメタ言説」があるだけで、自分の…

《居場所》の政治と、解離的な知性

どうやって孤立を回避するか。その方法論で、立場が分岐している。なのに、そこを誰も語らない。 「社会的包摂」というが、自己を対象化する分析を試みれば、たいていの共同体からは排除される*1。 むしろ、分析の努力を通じて孤立が回避されなければ。つま…

「脱政治化する言説戦略」

酒井隆史『暴力の哲学 (シリーズ・道徳の系譜)』p.103-4 ここで、ランシエール(Jacques Rancière)にならって、〈政治的なもの〉を中和し、脱政治化する複数の言説戦略をみてみましょう。 アルシ・ポリティクス 共同体主義タイプの脱政治化。閉じられて有機…

『文化系トークラジオ Life』 「秋葉原無差別殺傷事件」聴取

【番組の新聞記事】*1 事件だけでなく、この番組についてもいろんなとらえ方があると思いますが、私は「メタ語り」と「当事者性」の緊張関係が、決定的な焦点だと思いました(参照)。 私の問題意識に引き寄せすぎかもしれませんが、以下、そういう視点から…

メタ的正当化の暴力性

理論と現場とが対立するのではなく、現場・理論のそれぞれが、ベタな指針(メタな権利を主張する指針)に居直っている。 硬直したメタ言説への居直りは、共同での試行錯誤である「読み合わせ」のデリケートさを押しつぶす。 【資本、アカデミズム、弱者擁護…

「「格差社会」を生きる日韓の若者事情 〜日韓NPO交流事業報告会〜」

「日韓若者支援団体交流の資料」(工藤啓のブログ、掲載された資料はPDF) 【訪韓期間】 平成20年3月3日(月)〜3月8日(土) 【日韓NPO交流事業参加者】 工藤啓 特定非営利活動法人「育て上げ」ネット 理事長 古賀和香子 たちかわサポートステーション セン…

「個人の社会化」にまつわる、疎外と物象化

稲葉振一郎「「疎外」「物象化」をめぐってあれこれ無秩序に」より(強調は引用者): 「型」――マクロとミクロ 雑駁な言い方をすればこれは「型」の問題だ。人は「型」なしでは生きられない。世の中を「型」にはめてみることによってはじめてそこに有意味な…

《読み合わせ》

三脇康生は、ドゥルーズのカルメロ・ベーネ論*1や竹内敏晴を参照しつつ、《読み合わせ》という発想を語っている(参照)。 《読み合わせ》である以上、それは一人で行うことはできない。 与えられた脚本を絶対の超自我とする順応主義では、ここでいう《読み…

Be動詞の「当事者」から、活動形の分析へ

私が活動のチャンスをいただいたのは、「当事者」という枠組みによってだった。 しかし、実は当事者という言葉で私を受け入れた人たちは、ご自分についての分析、という意味での当事者性を拒否する*1。 「○○の当事者なんです」と自分の弱者性を名乗り出る人…

秋葉原事件・関連メモ

自滅的な殺意や自殺願望については、《取り組む》という要因の破綻が決定的。 手続きが見えないまま無力であり、アクセスの方法が極端に狭められている。 主観的・客観的な「アクセスポイントのなさ」そのものに取り組む必要がある。 政治的-臨床的な、具体…

仕事や展望のメモ

現状整理と、論題共有のために。 不登校・ひきこもり等、単に失業問題に還元できない事情。 「心の悩み」に還元してはダメだが、景気や雇用条件・教育制度しか問題にしないのも困る。 動機づけと順応は、個人の継続的な政治化の問題。 それゆえ「個人の社会…

雑誌『ビッグイシュー』 第96号 発売中

斎藤環さんと私の往復書簡 「和樹と環のひきこもり社会論」、今号は私で、『Re: 軌道修正のお願い』です。 前号の斎藤さんからは、私の論じ方がルール違反だという指摘がありました。 今の私は、まさに問題を論じる上でのルールを問題にしています。 「メタ…

おことわりとお願い

ここ10日あまりの間に、ネット上で次のような事案が発生しています。 私の経験した私的なトラブルの対象者本人が、あからさまな虚偽の証言を公開で行なっている。 ※トラブルの細部を素材化するため、関係者に働きかけたこともありましたが、いまは直接的な公…