2008-01-30から1日間の記事一覧

メルロ=ポンティ『見えるものと見えないもの』(原著は1964年、この訳本は1989年)

言語学者にとっての言語体系(ラング)は、一個の理念的体系であり、可知的世界の一断片である。 しかし、私が物を見るためには、私のまなざしがXにとっても見えるというだけでは十分ではなく、私のまなざしが一種のねじれ、逆転、ないし鏡像の現象――それは…

木田元『メルロ=ポンティの思想』(1984)

彼が、言語行為(parole)と言語体系(langue)、共時態(synchrony)と通時態(diachrony)とを単純に区別し並置するソシュールの考え方に反対するのも、このゆえである。 先に触れた「意識と言語の習得」において彼が、「言語行為 parole をおこなうそのた…

金田耕一 『メルロ=ポンティの政治哲学―政治の現象学 (政治思想研究叢書)』(1996)

メルロ=ポンティの言語概念のきわめて独創的な点は、身体のもつ表現機能の延長線上に言語が捉えられていることである。「身体的志向性」(intentionnalité corporelle)が知覚野を形成している諸要素を構造化することによってゲシュタルトとして現出せしめ…

《制度》

メルロ=ポンティの《制度化》について(強調は全て引用者)。 【追記】 ひきこもりにおいて問題になっているのが《順応》であるなら、ここで記されているような「制度」理解が、政治的-臨床的に必須です。制度の問題をていねいに考えなければ、社会復帰は、…