2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「ネットに何か書くことの利点を初心に帰って思い出す」(idiotapeさん) 【はてブ】

もう7年以上も前になるだろうか。大学院にいたころ、先輩の一人が自殺を図ったことがあった。幸い未遂で済んだが、学内でのこの手の話題というのは、本当に誰か死人が出たり、あるいは裁判沙汰にでもならない限り、学外には出て行かない。 この記事で紹介さ…

「引きこもり支援施設:時効認めず賠償命令 名古屋高裁」(毎日新聞)

引きこもり支援施設「長田塾」への入寮を強要されたうえ、連行される様子などをNHKにテレビ放映させ、プライバシーを侵害したとして、福島県いわき市の男性(21)が、施設の運営会社「塾教育学院」(名古屋市天白区)と同社の実質的主宰者の長田百合子…

「自分より若い世代の二人の作家の近作について」(三脇康生)

小柳は、さみしい風景の中で耐える自分(の気持ち)を描くのではなく、さみしさは彼にとって描くための初期条件であったのではなかったのか。むしろ描くことには「さみしい」という気持ちを超えてしまう要素、そのような人間的な感情を超えてしまう要素があ…

「もともと自由ではまったくなかった」 【第3回】 【最終回】より

東浩紀: そもそも、人間は工学的にコントロール可能な一種の動物にすぎない。その制御可能性は、人間の生物学的な条件そのものに根ざしているので、本人がそれを自覚可能かどうかはまったく関係ないと思うんです。 (略) しかし、選挙の話はそれに加えても…

意思決定と責任の分散化 【第2回】より

下條: 敢えて言ってしまうと、自由意志というものは実は存在しなかったということになるかもしれない、ということですね。確かにそれは困る。しかし、その自由というものは近代社会の大前提にある概念ですけど、これまでの人類の歴史の中ではそんなに長いも…

「ニューラル・マーケティング」と自由意志 【第1回】より

下條信輔: ぼくらの大学院を志望する大学院生のうち、8割がニューラル・マーケティングをやりたいと言ってきています。数年前は8割くらいがブレイン・マシン・インターフェース(脳と機械を結ぶインタフェース)をやりたいと言っていたんですけどね。ニュ…

「ゲームプレイ・ワーキング」 【第1回】より

東浩紀: 多様性を拡大するかわりに工学的な画一性を甘受した社会。(略) ひとつは「ゲームプレイ・ワーキング」。言ってしまえば人間グリッド・コンピューティング*1ですね。街の中でケータイ電話で暇つぶしをしていると、オンライン上でなにかの生産に寄…

東浩紀×下條信輔 「潜在認知さえもコントロール可能になる」 メモ

「制度や秩序の外に出られない各個人が、その制度の中で交渉能力を高めてゆく」という、理論的であるとともに臨床的な課題のためのクリップ。

社会学分野での「ひきこもり」研究書

ひきこもりの〈ゴール〉―「就労」でもなく「対人関係」でもなく (青弓社ライブラリー (49))作者: 石川良子出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2007/09/22メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 144回この商品を含むブログ (28件) を見る 【参照:「お知らせ」(…

「仮想世界のリアリティーや「引きこもり」を議論」

パネリスト: 粟飯原理咲氏 (アイランド代表取締役) 東浩紀氏 (哲学者・批評家) 小野和俊氏 (アプレッソ 代表取締役副社長CTO) 楠正憲氏 (マイクロソフト 最高技術責任者補佐) 境真良氏 (早稲田大学大学院 国際情報通信研究科客員准教授) 佐々…

「Wiiで引きこもり克服も――精神医療にゲームを活用」

香山リカ氏。

萱野稔人氏×北田暁大氏 トークセッション「権力と正義」 参加 (kwktさん)

気になる議論のメモ。 北田氏は『責任と正義』で「正義・公正(Justice)」の観点から国家の問題を論じた。 萱野氏は『国家とはなにか』で「暴力」の観点から国家論を展開。 資本主義を成立させるための権利関係を保障するのが暴力しかないのであれば、資本…

折衝と制度

「充たされざる者(カズオ・イシグロ著)」(梅田望夫による書評)より: 私たちは皆、自分の生を生きることに精一杯だ。それだけで自分の時間の大半は過ぎ去っていく。その合間を縫って多くの他者と関わるのが生きることだが、他者の人生に深く関わろうとす…

「価値ある現実」と子どもの絵

先日の芸術の話について、読者の方からいただいたメールより*1。 現代芸術に共通するものがあるからということで、子どもの絵を「芸術」として見る人たちもいます。でも、子どもの絵に関しては、発達の目的は芸術ではなく、現実を捉えることとか、成熟した大…

 人間関係の政治

ずいぶん前の話。 知人の大学院生 B が、「大学院の先輩 A を紹介したいのだが、興味はないか」という。 お二人とも私よりずっと年下だが、「A さんは、大学の外とつながりたがっている。フリーでひきこもりに取り組んでいる上山さんをぜひ紹介したい」との…

「「こりゃクビかもなぁ・・・」と思った仕事上の失敗」(アルファルファモザイク)

「どうやったらうまくいったか」という話ももちろん聞きたいけど、「こういう失敗をしてしまい、そのあとこういう展開になった」という話こそ参考になる気がする。 失敗やトラブルを核に、業界や制度の事情が透けて見えるということもあると思う。(学問や議…

「求人の年齢制限を禁止 …改正雇用対策法、10月1日に施行」 【はてブ】

企業が労働者を募集・採用する際に年齢制限を設けることを原則禁止する改正雇用対策法が10月1日に施行される。 ハローワークでの求人だけでなく、民間の職業紹介や求人広告でも、「年齢の壁」が取り除かれる。中高年や30歳を超えた年長フリーターなどの…

「最悪!電車内マナー 大迷惑な高校生たち」(ニコニコ動画)

「動物化した」この状況では、馬鹿正直に考えた人間が潰される。 コミュニケーションは無理だから、暴力を独占した機関に頼るしかなくなる。 「絶望していらだつ群集」は、自分の首を絞めるようなことでも何でもやる。苛立ちを晴らすことが目的であって、整…

著名な語り手と生活者

著名な語り手の多くは、読み手が自分の状況や自分自身のことを分析せずともナルシシズムに浸れるような言説スタイルになっている。熱心な読み手は、「自分は分析を理解できた」と、自分の現場に介入的な分析をせずとも悦に入れる。しかし、「どんな場所にで…

大文字の分析とナルシシズム

関係者や語り手の固有名詞が登場し、「現実/作品/私」の関係が倫理的に問われる、そこでの実験が為されたように見える「キャラクターズ」(東浩紀+桜坂洋)は、いわゆる《当事者》系の議論とモチーフを共有する*1。 刺激を受けたこの作品を出発点に、以下で…

制度分析的な当事者論

ナルシシズムの発露とは別の、分析的な「本人による議論」が必要だ。語ったり書いたりすること、それを事後的に分析することは、硬直したナルシシズムの制度から自由になることだし、そうでなければ言葉を尽くす意味がない。現状では、「語れば語るほど独り…

数学者と「問題」

数学セミナー臨時増刊号『国際数学者会議ICM90京都』(1991年)より。 ある意味で、基本的な数学的問題の個数が無限だというのは確かな気がする。ところが、私は真に基本的な物理的問題は有限個だと信じている。だとすると、未来において数学と物理が真に…

論点としての主体 メモ

「主体があって、それが論点に取り組む」のではない。 主体自身が、論点の実存として成立している。 主体は、実体的な何かではなく、antagonism(敵対性)そのものとして成立する。 言語は、単に差異なのではなくて、論点として成立する。(ラカンなら、それ…

「正義」の制度的硬直

「正義はあっても分析はない」ような人たち。 「正義の味方」を演じているつもりの、幼稚なナルシシズム。(とはいえ、実際の行動においては、そうした硬直した態度が必要だ。自意識のエクスキューズは、たいてい「何もしないでいる」ことの言い訳でしかない…

「当事者=イノセンス」の政治性

現代芸術を見た多くの人が、「こんなものは子どもにでも描ける」とため息をつく。超絶技巧が専門性で、子どもの絵が単なる幼稚な弛緩でしかないとしたら、現代芸術を形作るたくさんの「流派」は、あれはいったい何をしているのか。 これについて、専門性と批…

制度的硬直と、受肉した情熱

ひきこもっている人は、社会の制度に登録されていないが、本人自身が硬直した意識の制度を生きている。 日本が「悪い場所」*1だとしたら、その悪い場所にいる《当事者》として自己分析的に、あるいは環境分析的に、自分の居る場所を分析し、そこで換骨奪胎的…

動機づけの成功と制度

何かに熱心に取り組むとき、私たちは制度の中にいる。自転車に乗るときに筋肉の動きを意識しないように(意識しているときは乗れていない)、動機づけと能力の高さは、自意識の解除と同時に起こる(斎藤環が引きこもりについて指摘する「再帰性」の問題)。 …

お金の環境と人間の環境

多くの制度的強制力やナルシシズムには、お金が絡んでいる。逆に言うと、お金の流れを生み出せなかった取り組みは、社会的に維持できない。制度への換骨奪胎的な姿勢は、そのまま「お金の流れをせき止めること」にも見える。▼お金の流れは、せき止めればいい…

受傷性と暴力

高度に開放的で分析的な姿勢(メタとベタの往復の徹底した維持)は、あまりにも受傷性が高くなる。それは、くだらないトラブルにも全力で傷ついてしまい、他者の恣意的で傲慢な暴力にも全力でみずからを開いてしまう。開放的姿勢自体が、恐怖をいや増す。こ…