2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

お詫びとおことわり

一日に何度もとつぜん電源が切れる症状がずっと続いているため、パソコンを修理に出すことにいたしました。 そのため、3月31日から2週間程度、ブログやメールには一切アクセスできなくなります。 ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げま…

高木ひろし(たかぎ・ひろし)氏

愛知県議会議員、1953年生まれ。 【ご本人のHP】 事件発生後、すぐに名古屋市と愛知県の関係部署と思われる役所に集まってもらいまして、認識を尋ねました。 まず直接には、これはNPO法人の関連施設でしたので、社会活動推進課というNPO法人を管轄する部署。…

梅林秀行(うめばやし・ひでゆき)氏

「情報センターISIS」スタッフ、1973年生まれ。 私自身の「ひきこもり」経験は、支援活動に従事していることについて何ら必然性を持ちません。 過去にひきこもる若者の一人であったという経緯が、現在お悩みの皆さんへの理解に結びつくとは決して思わないの…

多田元(ただ・はじめ)氏

弁護士、1944年生まれ。 NPO法人全国不登校新聞社代表理事。 NPO法人子どもの虐待防止ネットワークあいち(CAPNA)に設立から参加。 南山大学法科大学院教授。 不安と無力感に打ちのめされて自己評価を著しく低下させている親は、長田百合子氏の力によって子…

山田孝明(やまだ・たかあき)氏

「情報センターISIS」ネットワーク代表、1953年生まれ。 先の公判ビデオの中で、強制的に連れて行かれた若者の父親が証言台に立ちました。 父親と息子の葛藤や家庭内暴力があり家族全員が苦しんでいた様子が語られ、そんな状況下でインターネットにて杉浦昌…

川北稔(かわきた・みのる)氏

愛知教育大学教育実践総合センター講師(社会学)、1974年生まれ。 事件の背景には、支援の行き届かない引きこもり問題が存在する。「ひきこもり家族調査委員会」は、当事者の平均年齢が29・5歳、十年以上引きこもっている人が38・5パーセントという深…

 『引きこもり狩り』について 5

【『狩り』 1】、 【『狩り』 2】、 【『狩り』 3】、 【『狩り』 4】 そのほかの寄稿者や、シンポジウム参加者の方々の発言から。 (強調はすべて引用者)

(4) 「専用施設の充実と専門性向上のために公的な助成を」(KHJ親の会)

高岡健氏の反論: 専用施設への助成が、引き出し姉妹*1たちへの助成にならないよう、祈るばかりだ。 それ以前に、親の会は、引きこもりに対する社会的非難と対峙し、引きこもる青年たちの人権と経済的支援――たとえば広井良典(『持続可能な福祉社会―「もうひ…

(3) 「会が取り組んでいる「引きこもり訪問サポート士」の養成に支援を」(KHJ親の会)

高岡健氏の反論: 訪問にはルールもエチケットも必要だ。 だから、粗野な男性や女性は、訪問を遠慮したほうがいい。 換言するなら、「引きこもり訪問サポート士」が「引き出し専門サポート士」でないことを、いかに担保するかが最重要なのであり、安心してひ…

(2) 「認知行動療法ができるカウンセラー、セラピストを養成し、健康保険適応を」(KHJ親の会)

高岡健氏の反論: もともと脱落例の多い認知行動療法が、誤って引きこもりの解消のみを目的に適用されたなら、引きこもりを呈する若者たちを、ますます自責的にさせ追い詰めていくことは、火を見るよりも明らかだといえる。 どうしてもこの方法を実施したい…

(1) 「新世代抗うつ剤のSSRIが社会不安障害にも有効として保険で使えるようになったので、SSRIを扱える専門医の研修指導を」(KHJ親の会)

高岡健氏の反論: 研修指導などをする以前に、製薬会社の巨大な宣伝力によって、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、すでに乱用されている。 引きこもりの親の会が主張すべきは、SSRIの乱用と社会不安障害(伝統的診断名では赤面恐怖や対人恐怖)と…

 『引きこもり狩り』について 4

【『狩り』 1】、 【『狩り』 2】、 【『狩り』 3】、 【『狩り』 5】 ■高岡健氏 (2) 「KHJ親の会」への批判 (p.144-146) 「全国引きこもりKHJ親の会」*1によれば・・・・次の四点を要望している。 (1) 新世代抗うつ剤のSSRIが社会不安障害にも有効と…

「我々の業界では決着がついた」

強調は引用者。 この論争*1は、当然ですけれども、我々の業界の中ではすでに決着がついています。 斎藤さんは自分の理論を持ちこたえることができずに、引きこもりにもいいところがあるとか、引きこもりも必要な場合があるというふうに、だんだん意見を変え…

「ひきこもり」=「価値の増殖」?

引きこもりという行動は、吉本隆明(『ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ (だいわ文庫)』)の言葉にしたがうなら、人生の価値を増殖させる。 だから、期間の長短にかかわらず、引きこもりによって得られた価値だけを元手に、若者は自らの力で岐路を超…

「理論化」

私たちは、長田・杉浦を引き出し姉妹と呼び、同列に扱ってきた。 しかし、当人同士は極めて仲が悪いらしい。 その理由は、容易に推定できる。 姉は、あくまで「妹たちに姉らしく」振る舞い続けねばならなかった。 しかし、近くで姉の実際の姿を見てきた妹は…

 『引きこもり狩り』について 3

【『狩り』 1】、 【『狩り』 2】、 【『狩り』 4】、 【『狩り』 5】 ■高岡健氏 (1) (たかおか・けん) 精神科医、1953年生まれ。 本書の中で、最悪のイデオロギー的硬直を見せているのが高岡健氏。 以下、気になるいくつかについて(強調はすべて引用…

現場と言葉

こういうことを申し上げると、少しでもそういうことに関わっている人たちは、すぐに「現場」という言葉を持ち出します。 僕らはそういう現場主義を徹底的にばかにしていますけれども、「おまえら現場を知らないじゃないか。現場を見てみろ」というようなこと…

「家族と信仰」(p.173-182)

学校という空間はもっとも鋭く極端なかたちで、言うならば権力関係として、このシステム化を推し進めている。 教師と生徒の関係はほんらい少しも権力的ではないのに、権力関係として出現してくる。(p.181) 教師と生徒の関係は、支援者とひきこもり当事者の…

《する》ことへの留保と、「居続けることのもたらす信頼性」

このことの意味は、〈する〉ことへの留保である。 (略) 何もしないということが〈する〉ことなのだという逆説をここからとり出すことができる。 さらにもう一つの思想が内蔵されている。 それは〈いる〉ということの力である。 いること、居続けることのも…

 『引きこもり狩り』について 2

【『狩り』 1】、 【『狩り』 3】、 【『狩り』 4】、 【『狩り』 5】 発言者のそれぞれについて、いくつか引用・検討させていただく。 強調はすべて引用者。 ■芹沢俊介氏 (せりざわ・しゅんすけ) 評論家、1942年生まれ。

公正な当事者論と《去勢》――「欲望の道」かつ「作戦遂行」

【本書の直接の内容とはやや離れた、抽象的な議論になるが、「ひきこもっている人を擁護するかどうか」ということと、それにまつわる当事者や支援者の《去勢》というテーマについて、少しだけ今の私の立場を書いてみる。】 「他者の存在(生命)を無条件に肯…

さらにいくつか

支援者として承認される基準は? 執筆者の一人である山田孝明氏(「情報センターISIS」ネットワーク代表)は、親御さんに相応の対価を要求して活動を続ける「支援者」の一人。 ひきこもっている本人に、外部世界との関係を作り出しているのであり、その意味…

「全面肯定」のイデオロギーと、「オルグ」的支援契約

芹沢俊介氏が一部紹介しているように(p.234-5)、「ひきこもりの全面肯定」は、実際に一部の当事者に肯定的影響を持つのだと思う*1。 それは、「無条件に承認される」という呼びかけに応じて、承認イデオロギーの繭(まゆ)の内側に出てきたにすぎないのだ…

スケープゴートとしての斎藤環

斎藤環氏は、本書では非常に無造作に、死亡事件を起こした団体の責任者と並び称され、非難されている*1。 斎藤氏は、「初期と比べて考えが変わってきた」と自分で語っているが*2、彼の出発点が、ひきこもりへの過剰な否定を含んでいたとして、その後の変化の…

親がひきこもってしまったらどうするのか。

冗談のように聞こえるかもしれないが、これは「対等な交渉関係」という原理的な部分を確認するためには、どうしても必要な論点になる。 実際、親御さんの一部は、金銭的・精神的に追い詰められ、倒れたり亡くなったりしている(一部は自殺と聞いている)。 …

ひきこもりを全面肯定する資金は誰が出すのか。

ひきこもっている人への援護射撃として、「全面肯定」というスローガンが有益な局面はあると思うが、その構図自体を硬直させてしまっては、その後の家族内での話し合いが成り立たない。 ▼そもそも「全面肯定」は、「それをすれば本人は社会復帰してくれる」と…

 『引きこもり狩り』について 1

『引きこもり狩り―アイ・メンタルスクール寮生死亡事件/長田塾裁判』について 2006年4月、ひきこもりを「支援」するはずの施設で起こった死亡事件(参照)を受け、さまざまな経歴を持つ6人の原稿と、緊急シンポジウムの記録が掲載されている。 細かく読めば…

心的リアリティと執着心

本当にごまかすことのできない執着心の一つとして、「反論したい」が挙げられると思う。 倫理的な理不尽感や、黙殺されたリアリティへの執着。 自分に不正を働いた人間がのうのうと生き残り、嘘をつき続けることへの許せなさ。――そうした執着自体に意味がな…

「成熟とは、自己愛の安定」

斎藤環: 成熟とは、自己愛が安定すること。 つまり、不完全な自分を肯定できること。 所属も仕事もパートナーもなく、対象のない自己愛は非常に不安定。 ひきこもっている人の発想が「一発逆転型*1」になりがちなのは、リアルな自分への極端な否定感情ゆえ…

「欲望や自発性は無責任」

斎藤環: 欲望や自発性は、本質的に無責任。 ひきこもっている人や親御さんは、「意味のあるお金の使い方」ばかりを考えて苦しんでしまうが、むしろ「無駄遣いしてもいいお金」としての《お小遣い》こそが必要。 つまり、「責任を問われないお金」。 ある当…