2004-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「居着き」 → 「非中枢的な身体」

27日のコメント欄から、id:mommoo さんの「居着き」を思い出し、こちらの論文を読んでみました。 ひきこもり当事者(経験者)の苦痛緩和および「有力化 empowerment」のヒントになるかもしれないので、以下、簡単に引用しながらメモ。 身体技法としての武道…

単独性を僭称する特殊性?

宮台真司×奥平康平『憲法対論』ISBN:4582851649 を読む努力を続けていますが*1、どうもやはり「日本」について、「単独性」(代替不可能)を言うかどうか、がネックのように思えます。 天皇を、「法則の崩壊する」ポジション(特異点)として要請するにして…

「特異点」?

id:essa さんが、「社会の中の極小値=特異点」と見る比喩について、詳しく書いてくださってます*1。 「特異点」という言葉は、僕も数学や物理学の一般向け解説書で見かけて以来、ずっと気になっているのですが、ソーカルの批判などもあるし、この理系概念を…

「差別」と「権利」の峻別

僕が「ひきこもりの安楽死」という話を出したことをめぐり、「上山はひきこもりを差別的に排除(抹殺)しようとしている」という危惧も(ごくわずかですが)出ているようです*1。 大事な論点を含むと思うので、すこしだけ。 以前僕は、「ひきこもりは≪病気≫…

 権利 ・ 単独性 ・ 武道

「相手にされる議論」を作るのは、本当に難しい。

「精度を増していく」 → 「楽しむ」

『TOP RUNNER』で、大平貴之というプラネタリウム技術者のロング・トークを拝見する。 工学的探求がアーティスティックであり得る、つまり「精度を高めていく」という側面が自分や他人にとってエンターテインメントであり得る、というのが新鮮だった。

入り口

「ひきこもり」というのは僕にとって「入り口」であって、そこを通じて、自分にとって大事なテーマにつながって行ければいいのだと思う。

問いの焦点

ひきこもりについて「安楽死(尊厳死)」を口にすることが、一つの「絶望」の表現だとして、それは「支援を考える人間」としての絶望であるとともに、「一当事者」としての絶望だった。 僕自身が、「生に向けてのチャレンジ」を断念し始めていた。 つまり、…

 むしろ

どうも精神的にヤバイ、と思って、ある友人にすごく久しぶりの電話。 感謝。 いただいているレスポンスの論点を網羅することはできませんが、少しだけ頭を整理できたように思うので、書いてみます。

「人間の苦痛緩和」

繰り返しがあったり、いただいたコメントを取りこぼしていたりして穴だらけですが、ひとまずこんな感じでしょうか…。 僕は(立場上)話を「ひきこもり」に限定しましたが、 「苦痛緩和の選択肢としての安楽死(尊厳死)」は、「経済的困窮」や「精神的苦痛」…

おびえ

今回の僕の「安楽死」エントリーについて、「社会的役立たずとして抹殺されるのではないか」というおびえの声があがったことは、注記すべきだと思います。 立岩真也氏によれば、「どの国でも障害者の組織は安楽死に反対してきた」*1。 ひきこもりは、他の社…

「私、安楽死を希望します」の模擬ミーティング

今日のエントリーで繰り返し参照させていただいた清水哲郎氏は、「安楽死が倫理的に正当化される条件」として、上記の判例のほかに、次の項目を付け加えています。 (c) 患者の意思確認のプロセスは十分なコミュニケーションとケアによるものである (d) 医師…

「極小値=特異点=出口なし」?

id:essa さん: なんとも途方もないような重い話ですが、id:ueyamakzk さんにとってはすごく現実的な話ではないかと想像します。 ひょっとしたら、ueyamakzk さんは、それ以外に苦痛から逃れるすべを持たない人の顔を具体的に何人か思い浮かべながら、こうい…

「都合のよい自己決定」

立岩真也氏が懸念するのは、「本人以外にとって都合のいい安楽死」という点だと思います*1。 具体的に誰にとって都合がよいのか。 負担を免れる人にとってである。 家族だけがその負担を負っている、負わされているなら家族であり、また社会的に医療や介護の…

積極的と消極的

積極的安楽死(死なせる kill)と、消極的安楽死(死ぬに任せる allow to die)。 斉藤環氏が強調していますが、重度のひきこもりは放置されれば自律復帰はまず不可能。 → 社会がひきこもりに無対策であるなら、それは「消極的安楽死」に近い。 「放っておけ…

SOL(生命の尊厳) と QOL(生活の質)

「日本尊厳死協会」では、尊厳死を「自分の意思で延命治療をやめてもらい、安らかに、人間らしい死をとげること」としていて、「安楽死=他殺」と区別しているようです。 しかし、「安らかに人間らしい死をとげる」のは「当然追求されるべき目標」なので、こ…

「自発的」のみです

id:anhedonia さん: ひきこもりにとって《決断》することが最大級の苦痛だから、ひきこもりにとっての安楽死とは、「自殺のための決断(自己決定)を回避して『気が付いたら死んでいた』状態にする」つまり、限りなく他殺に近い状態で死ぬことを目指してる…

安楽死が正当化される条件

東海大病院・安楽死事件の判例では、「積極的安楽死の4条件」として、次が示された*1。 (1) 耐え難い肉体的苦痛がある (2) 死が避けられず、その死期が迫っている (3) 肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし、他に代替手段がない (4) 生命の短縮を…

 「ひきこもりのための安楽死(尊厳死)」をめぐって

1回ここにアップするとそのまま寝込んでしまう、というような状態が続いていて、どうも我ながら危機的です…。 「ひきこもりのための安楽死(尊厳死)」というエントリーに、コメント欄をはじめ様々のレスポンスをいただきました。 論点を網羅することはでき…

ひきこもりのための安楽死(尊厳死)

少々過激な言い分になりますが…。 避けて通れないと思うので。 上でも書きましたが、「去勢」を相手に望むのであれば、そこには(その相手にとっての)「希望」がなければならない。 「希望」がないのならば、それは「拷問の強制」でしかないので、「去勢」…

去勢

id:sivad 氏: 「公と私ってのは対立概念なのでしょうか」。 うーんと、僕は思想史的な基礎知識があまりに欠落しているので、「公−私」という概念の成立史も知らないのです…。 古代ギリシャとかに遡るのかなぁ…。 ちょっとご提案の趣旨から外れるかも知れま…

日本という文化圏

iux さんにご紹介いただいたこちら、いやあ、面白いです。 「国民文化研究所」?(この「国民」という概念にも注意せよ、と但し書きがありますね)。 田中征爾というお名前は初めて拝見しましたが、おひとりでされてるんでしょうか。 ひきこもりというのは「…

絶望的な「永遠の現在」

id:igi 氏: 「概念の輸入」については、柄谷行人『日本近代文学の起源』ISBN:4061960180 を参照してみては。 先日の固有名論の『探求Ⅱ』ISBN:4061591207 もそうでしたが、線を引きながら読んではいても、それは「目で追っていた」だけで、「読んで」はいな…

 絶望 ・ 去勢 ・ 安楽死

21日のコメント欄では、またしても有益かつ刺激的な投稿が。 (引用は、意味を変えない範囲で変えさせていただきますね。)

「経済」の話はどう関わり得るのか

今日アップした議論では、僕の以前からの懸案である「経済(学)」についての議論がまったく扱えませんでした。 今後の課題です。 ――というか、今日考えたような「自意識」や「敗残者」の問題が、経済政策論(あるいは地域通貨・ベーシックインカムなど)と…

「空疎な抽象論」か、「理論なき(恣意的な)個別対応」か

僕が個別対応的なカウンセリング業務に困難を感じ、思想・制度の問題を考える必要を痛感したのには、いくつかの理由があります。 以下に列記してみます。 ただし、これは「個別対応の価値を認めない」ということではなく(そんなことできるわけありません)…

≪純潔主義≫ → 「安楽死」か「絶望の措定」か

がんばれば報われるというふうに素朴に思う学生さんはどんどん減っていて、「実際にはそういうふうになっていないじゃないか」ということを言います。 利いた風な口を叩いているけれども、こういうニヒリストぶりっここそが「純潔主義」に見えるんです。*1 …

死に至るシニシズム → 内ゲバ

自分たちが議論する言葉がなかったり素養がないということについて、忸怩たる思いを抱く学生さんが増えているのも事実で、だからこそ僕のゼミが盛況になる。 しかし逆に、どうせ考えても分からないから、忘却の淵に沈もうというような学生さんも増えていて、…

≪陛下の御意≫の地位 (「本物」か「形式的承認」か)

226事件においては、天皇陛下への最高の忠誠を誓った人たち(皇道派)が、陛下ご自身によって「逆賊」とされ、処刑された*1。 「これこそが陛下のご意思のはずだ」という皇道派の思い込みが、陛下ご自身によって否定された*2。 同じことを、現代の右翼に…

「自己決定」: 陛下と国民

『憲法対論』、精読したのは第1章までなのですが、斜め読みで全体を見渡したとき、次のような一節が。(強調は引用者) ほとんど憲法学者が問題にしているように感じられない、僕一人というつもりはないけど、でも僕が非常に強調して考えていることの一つの…