評価の設計図

武藤香織氏(東大医科学研)執筆の、STAP細胞問題をめぐってより:

 文系の研究者からみますと、生命科学(あるいは理系全般?)の研究者は、論文の「背景」・「目的」に対する思い入れが少なすぎます。この思い入れのなさの原因は、論文のインパクトが「方法」と「結果」であって、「背景」と「目的」にかける執筆労力も、論文全体からみた配点/評価も低く割り当てられているためではないでしょうか。

 個人研究を中心とする文系の研究者にとっては、自分のレゾン・デートル証明のためにも、論文の「背景」「目的」は、極めて重要な執筆過程になります。逆に、文系の研究者の論文は、「方法」部分の記述が全体としてpoorになりやすく、「結果」「考察」の区別をつける必要性は研究領域によっても異なるため、論文が「作品」/「エッセイ」/「論説」になりやすいリスクを秘めていることも指摘しておきます。