名詞形ではなく、動詞形の《当事化》を考えたとき、
政治思想や法哲学との関係はどうなるだろう。
哲学系で《動詞化》をあつかう議論はあるのですが(参照1)(参照2)、これが主権概念や民主主義との関係でどうかというと、ネグリぐらいしか思いつかない。*1
《ドゥルーズ/グアタリと法》*2 はずっと気になりつつ、既存の法理論との絡み方が掴めないままです。伝統側からはガン無視されているように見える。
以下は、あるPDF資料より:
In Deleuze & Guattari's ontology there are two fundamental operation of nature and the social: molecular and molar.
ドゥルーズとグアタリの存在論においては、自然と社会について、二つの基本的な操作がある。つまり、「分子的」と「モル的」。
- Molecular processes of genesis and organisation draw upon the forces of the virtual, creating molecular emergent dissipative structures.
- 発生と組織の分子的プロセスは、潜勢態の力に基づき、分子的・創発的・散逸的な構造を創造する。
- By contrast, molar organisation draws upon the differentiating operation of a boundary that constitutes a division.
- それに対し、モル的組織は、境界線の差異化の操作に基づき、この境界線は、分割を構成する。
〔・・・〕
He then presents their theory of law : as that of a two-fold conception of, first, a transcendent molar law and, second, an immanent molecular emergent law.
そして彼〔著者ジェイミー・マレイ〕は、彼ら〔ドゥルーズとグアタリ〕の法理論を提示する。それは二要素から成っていて、まずは「超越的でモル的な法」であり、もう一つは「内在的・分子的・創発的な法」。
Transcendent molar legality is the traditional object of legal theory. And, as explicated here, immanent molecular emergent law is the novel juridical object that Deleuze & Guattari identify.
超越的でモル的な法は、法理論の伝統的な対象である。そして〔・・・〕内在的・分子的・創発的な法は、ドゥルーズ&グアタリが同定した、新しい法的対象である。
ちなみに、↑この本はすでに出版されているんだけど、
たった192ページで、1万2000円ぐらいする。
Deleuze & Guattari: Emergent Law (Nomikoi Critical Legal Thinkers)
- 作者: Jamie Murray
- 出版社/メーカー: Routledge-Cavendish
- 発売日: 2013/04/11
- メディア: ハードカバー
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ほかの関連書籍も、異様に高額です(参照)。
重要な議論を続けるには、ものすごくお金がかかる…
2014年2月25日 【追記】
本エントリでは、Félix Guattari の姓を「グアタリ」と表記したのですが、歴史上の人物として、「グアタリ」と表記される人を見つけました。
16世紀の北米大陸東部に、スペイン人探検隊から「グアタリ・マイコ」と呼ばれた女性がいて、このひとをリーダーとするインディアンの村があったらしい(グアタリ村)。ここで「グアタリ・マイコ」は Guatari Mico で、フランスの Guattari とは一字違いです。
Google翻訳を使って「Guatari」をスペイン語発音させてみると、はっきり「グアタリ」に聞こえます(参照)。
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- 「グアタリの土地で(Nelle terre del Guatari)」(イタリア語のページ)
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- 「フアン・パルドとインディアンのグアタリ、最初のコンタクト(Juan Pardo, the Indians of Guatari, and first contact)」(フアン・パルドは、スペイン探検隊のリーダー)