シンポ「当事者主権によるニーズ中心の福祉社会に向けて」聴講


感想

    • 三氏の肉声を聞けたことが、自分の中をこなすのに好影響だった。
    • 「当事者」と銘打たれているが、すでに確立された「権力のふるいかた」について、あとはどれだけそれを拡充させるかという話がなされているだけで、自分のふるっている権力を分析するという課題がまったく扱われなかった。目の前の関係性を築くうえで必要な分析が、話題にすら上らないということを確認して、絶望的になるとともに、やるべきことを確認した。
    • 配られた質問用紙に書かれた質問を、後半で司会した上野千鶴子氏は全てとりあげた。 私の質問も読んでいただいたが、「講演にあった脱施設 institution だけでなく、脱制度 institution も必要」という話が、「施設を出ても、そこには自分を縛るルールだらけ」という理解にとどまった。 そう語る自分も制度的存在なのに。
    • 「当事者主権によるニーズ中心の福祉、というが、立岩真也氏は “専門家” として話している。その立ち位置を確認し直すべきでは」――と質問用紙に書き、上野氏から横の立岩氏に話題が振られたが、立岩氏は「特に語ることはない。言うべきことを言うだけ」(大意)とのこと。 上野氏は「逃げましたね(笑)」。 お二人とも、自分がふるう権力の構図には自覚的ではない。
    • 上野氏は、「高齢者は、障がい者になろう」キャンペーンを本気で考えておられるらしい。 障がい者なら、遠慮なくケアを受ける権利を主張できるから、と。 上野氏は講演のなかで、「自分から進んで弱者になろうとする人はいない」と言っていたが、役割上の弱者を主張することを、ご自分がなさっている。
    • 《自分の権力を分析することを要求する権力》を考えなければ。 これは、「民主主義は、制度としてはその地域を支配しなければならない」と比較できる。