ギデンズ 『近代とはいかなる時代か? ─モダニティの帰結─』では、専門家システムが《脱埋め込み(dis-embedding)》の重要な要因だった。ところが今は、逆に「専門家システムへの埋め込み」が問題になる。 ひきこもりのように自己確認そのものの底が抜けている苦痛で、たとえば単に精神薬理学や社会学のディシプリンで考えようとすれば、論じられる対象も、論じる本人も、専門家システムに不当に埋め込まれてしまう。
人格障碍や発達障碍の解説書を読むと、多くの人が「自分にも当てはまる」と思ってしまう。 疾患カテゴリーそのものが、専門家と呼ばれる人たちのアリバイ作りになっていないか。――《埋め込み》こそが苦痛にかかわる引きこもりでは、これは臨床的に有害。
- 参照:
- 『乱造される心の病』(Shyness: How Normal Behavior Became A Sickness)
- 『「心の専門家」はいらない (新書y)』