『バックラッシュ! なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?』 p.83

宮台真司氏のインタビューにつけられた注より。
段落分けと強調は引用者。

 再帰性とは、選択前提(であるがゆえに通常は選択対象にならないもの)が選択対象に繰り込まれた状態。 近代社会では「手つかずの自然」は再帰的である。 文化を前提づける自然というより、あえて手をつけない文化的選択の結果を意味するからだ。
 学習の仕方を学習する場合も、選択前提だったものを選択対象とするので、再帰的である。
 似た概念として反省(性)があるが、こちらは、システムと環境との関係がシステム内部で再現された状態(全体が内部的に表象された状態)を意味する。 「世界のなかに私がいる」と見るのは誰か(私なのか)という問いは、現象学的反省と呼ばれる。
 ジェンダーフリー再帰的だとは、男女に同じ振る舞いを期待するというより、どんな期待ももはや自明ではないという意識とともに期待がなされるからだ。 そこでは選択への期待の前提もまた選択されている。