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- 書評:「それでもなお、人を愛しなさい 人生の意味を見つけるための逆説の10カ条(ケント・M・キース)」(極東ブログ) 【そのはてブ】
まーた自己啓発ものか、と思ったが、10カ条を読み進むにつれて顔がこわばった。 これを指摘されて、何が解決するというわけでもないのだけれど・・・・
条文とリンク先の訳を、そのまま転載させていただきます*1。
- 1、 People are illogical, unreasonable, and self-centered. Love them anyway.
- (人は論理的でも合理的でもなく、自己中心的なものだ。それはそれとして、人を愛しなさい。)
- 2、 If you do good, people will accuse you of selfish, ulterior motives. Do good anyway.
- (あなたが良いことをしても人はわがままだと非難するし動機を邪推する。それはそれとして、いつも良いことをしなさい。)
- 3、 If you are successful, you will win false friends and true enemies. Succeed anyway.
- (あなたが成功すると、間違った友人と本物の敵を得る。それはそれとして、成功させなさい。)
- 4、 The good you do today, will be forgotten tomorrow. Do good anyway.
- (あなたがする今日の良いことは明日には忘れられる。それはそれとして、よいことをしなさい。)
- 5、 Honesty and frankness make you vulnerable. Be honest and frank anyway.
- (正直で率直なら、批判されやすく傷つきやすい。それはそれとして、正直かつ率直でありなさい。)
- 6、 The biggest men and women with the biggest ideas can be shot down by the smallest men and women with the smallest minds. Think big anyway.
- (最大級の発想を抱く最大級の人たちも、最低の心情を抱く人々によって打ち落とされる。それはそれとして、大きな発想をしよう。)
- 7、 People favor underdogs, but follow only top dogs. Fight for a few underdogs anyway.
- (人は負け組に同情しても勝ち組に追従するものだ。それはそれとして、負け組のために戦いなさい。)
- 8、 What you spend years building may be destroyed overnight. Build anyway.
- (幾年もかかる建物も一晩で壊される。それはそれとして、建てよう。)
- 9、 People really need help, but may attack you if you do help them. Help people anyway.
- (人が本当に助けを必要としているのに、あなたが助けようとすればあなたが非難される。それはそれとして、人を助けなさい。)
- 10、 Give the world the best you have and you’ll get kicked in the teeth. Give the world the best you have anyway.
- (自分の持っている最善を世の中に尽くしても、それで酷い目に合わされる。それはそれとして、世の中に最善を尽くしなさい。)
・・・・考えてみればこの条文は、狂信的な信仰者にとっても、独りよがりの運動家にとっても慰めになり得る*2。 敵対する人間同士が、ともにこの10カ条を抱えていることだってあるわけだ。
善意は、何のアリバイにもならない。 必要なのは、自分のこころざしの事情を検証すること、その検証の場所がいつまでも残ることであり、「こころざし」そのものではない。 こころざしそのものは、狂信的であり得る*3。
信仰・正義・ディシプリンではなく、自己検証を残すこと。 しかしその過酷さは、ひどい防衛にさえぎられる。――体験を素材化し、考え直す姿勢*4は、どうやって社会に生き残れるだろう。 孤立した自己検証は、利用され踏みにじられるだけだ。(それが嫌でひきこもっても、一人で瞑想する自己検証は、自己検証ですらない)
*1:【追記】: リンク先のコメント欄で、finalvent さんご自身が「みなさんが思い込めて訳されるとよいかと思います」とのことですので、一部だけ私の感覚で変えてみました。
*3:こころざしがメタにアリバイを得るのではなく、自己検証が、そのつど「残された作業」であり続け、倫理的衝動による作業として反復する。 それは、「神の意志(God's Will)」や、環境との関係を無視した「無意識の欲望」(ラカン)を確認することでもない。 作業場は、むしろ《制度》という鍵概念とともにある(参照)。
*4:それは、単にメタに倫理的なのではなく、それを生きようとするプロセス自体が臨床的だ。 ただしそれは、一人きりでは支えられない。