和樹と環のひきこもり社会論(1)

私は2006年(平成18年)から2008年にかけて、斎藤環氏との公開往復書簡を行ないました。『ビッグイシュー』という雑誌誌上でのことです。かなり好評も頂いたのですが、斎藤氏が私の問題意識に激怒し、一方的に降りられるという形で幕を閉じ――これをきっかけ…

ひきこもり問題が広く知られてもうすぐ20年

規範的に説教するか、丸ごと受け入れるか――そのどちらかしかできない支援では、《体験の内側から試行錯誤のありようを語りなおす》ということは出来ません。そうすると、ひきこもり問題の核心部分を論じられない。ひきこもりの話が、いつまでたっても「自分…

動詞的・身体的な技法の多様性

理論と規範ではなく、技法論的な当事者性から考えたい。 そういう私の視点にとって大事な話をしている論考から引用メモ。*1 野口裕之「動法と内観的身体」(PDF)より 先人達が拓いた無形の遺範でありながら、現在は既に風化しつつあるこの伝統的身体運動を、…

文字起こし【メディカル・ジェノサイド: 中国の臓器移植産業の隠れた大量虐殺】(新唐人テレビ)

メディカル・ジェノサイド: 中国の臓器移植産業の隠れた大量虐殺 データもたくさんあり、衝撃的な内容がよく纏まっているので、字幕を書き起こしてみます。 もくじ 動画内に登場する語り手たちが著者である書籍: 動画の字幕より: メディカル・ジェ…

研究メモ

《言説が生を収奪する》というテーマ マルクス『資本論』は、言説による生の収奪について、メカニズムの一部を調べた。 「名詞と論理」への過剰な還元は生の時間を疎外するが、だからと言って名詞と論理なしでは生きられない。 学問が、生に寄り添うべき言葉…

当事者主権と歴史修正主義

この上野千鶴子の発言は、実質的に歴史修正主義に居直ってる。 togetter.com 日本で「当事者」として発言するとは、歴史修正主義に加担することだった。当事者主権 (岩波新書 新赤版 (860))作者: 中西正司,上野千鶴子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2003/…

ゲーデルの時間論についての本

物理理論に登場する時間「t」は、空間の次元3つと同じような扱いになっており、「t」と「-t」の区別がつかない。しかしこれは、実際の時間が一方向でしかあり得ない現実を無視している。 この理論的に位置づけられた時間について、ほかでもないゲーデル本人…

移転完了

「はてなダイアリー」のサービス終了予告に合わせ、この「はてなブログ」に移転しました。「はてなダイアリー」での URL は、自動的に転送されるように設定してあります。今後ともよろしく。 参照: d.hatena.ne.jp

「当事者発言」のために必要な信頼

《当事者として考える》というスタンスは、左派の知的コミュニティへの信頼に基づいていたと思う。 「自分の問題を自分で考える」ことに、社会的な敬意を払ってもらえる 彼らにもそういうスタンスを共有してもらえる ――そういう信頼がなければ、いわゆる「当…

NHK プロフェッショナル 仕事の流儀【宇多田ヒカル、創作の舞台裏と素顔に密着!】

本当にいい視聴体験だった。 この人への感覚を言葉にするなら、「尊敬」が近い。 録画してないので、見ながらの走り書きメモ*1: やれることをやるだけでは意味がない。もの作りとは、やれないかもしれないことに踏み出す「冒険」 ふだんは抑えているもの。…

依存症について、《治療》という言葉を軽々しく使う空しさ

酒をやめることに役立つ医療情報というのは、実質的には「ない」。 本当にやめる(というよりやめ続ける)には、やり方を《自分で編み出す》しかない。 この、《やり方を自分で編み出すしかない》という技法の当事者性こそが、現代的な知性に欠けている視点。

当事者性をともなった研究の核心的テーマとしての党派性

党派性というのは、「なろうと思って」なる、という意識的な選択だけのものではない。「いつの間にかそうなっていた」でもある。その党派的傾向性を逸脱するときにも、「わざと悪意で」というより、「なぜかそうなってしまう」がある。*1 ある形で党派性を生…

カフカの門番の口にする「オープンダイアローグ」

フランツ・カフカ『道理の前で』(大久保ゆう・訳) ここに出てくる門番は、世の中の道理≒掟(おきて)を前にした男を脅しつけ、 自分がその《道理》を守っている、というのですが 斎藤環氏は、ご自分をこの門番のようなものだと思っているようです。*1 ――世の…

知性が党派的傾向性を必要とすること

追い詰められているのは、われわれの方ではない。奴らの方が追い詰められているのである。ゆえに、問題はいまや奴らに勝てるかどうかではない。すでに勝利は確定している。真の問題は、この勝利からどれだけ多くのものを引き出せるのか、ということにほかな…

技法論的な「厳密さ」

数学者・黒木玄氏のツイートより: @genkuroki / #数楽 数学者が書いた教科書に数学的に厳密な証明が書いてあ... @genkuroki / #数楽 しかし、へたをするとテキトーなことを言っていると思... 人間の生は、「論理的・数学的に厳密に証明できること」だけで出…

《規範から技法へ》という大きなテーマ

私の取り組みは、入り口としては引きこもりや不登校の問題だったのですがたどり着いたモチーフは、《規範から技法へ》ということになります。 不登校やひきこもりのほかに、差別や虐待の問題でもそうですが「〜するべきではない」と語られがちなテーマは、 …

追い詰められると、問題意識こそが孤立する

順応できなくなると、それだけで頭が一杯になり、他のことが出来なくなる。 そこで、自分で自分の事情を引き受け、やり直さざるを得ない。 自分なりの技法を開発することでしか、しのげない。 私は何とか、技法を開発してきた。それは、問題意識じたいをやり…

「聞き書き」と、生身の関係の技法

king-biscuit 【聞き書きは、なぜ「難しい」ものになってしまったのか : 「聞き書き」という手法の本来的可能性についての一考察】【CiNii】 私はこれまで、 学術言語 ⇔ 身体的に立ち上がってくる分析 上から見下すような「調査」の目線 ⇔ 実際に生きられる…

「人格と作品は切り離せない」は、《技法≒生産様式》の問題

「人格と作品は分けられない」という話をするときに私が何より考えているのは、 人格はそれ自体が一定のスタイルを伴った制作過程であり、また作品そのものである ということです。だからそもそも、「人格と作品を分けられる」という発想自体があり得ません…

ひとまず、途方に暮れることで出発点に立つしかない。

左翼リベラルの醜態は、「向こう岸」ではないわけで。 左派の酷さは、立場の弱い人を直撃します。 名詞形《当事者》概念の周辺は、唖然とするほど悲惨です。 その言葉を当たり前のように使う人たちの問題意識を変える必要があるものの、簡単な説得法などあり…

映画『この世界の片隅に』みた

素晴らしかった。 【公式サイト】 http://konosekai.jp/ 事前には何も情報を仕入れないで、まっさらな状態で観に行かれることをおススメします。(なので本エントリも、観に行かれた後のほうがいいです)

関水徹平『「ひきこもり」経験の社会学』(左右社)について

「ひきこもり」経験の社会学作者: 関水徹平出版社/メーカー: 左右社発売日: 2016/09/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る【左右社の本書のページ(目次ほか)】 じっくり精読しました。 もし、この「一緒に考える」過程において、支援者の…

理論言語こそが全体主義を生んでいる。理論活動を、観念論的抑圧から、技法の試行錯誤に変える。

失敗の研究としての当事者概念(メモ)

私は自分がうまく行かなかった経緯を内側から考え直すことを良心性のかなめとしてきた。「自分はうまく行っている」という自己申告には、ウソが混じる――そういう感覚を最優先に考えた*1。この感覚は、左派の知的伝統とも折り合いがよいはずだった。しかし実…

自分の研究が理解されないことについて(望月新一氏の文章より)

★【「異世界からきた」論文を巡って: 望月新一による「ABC予想」の証明と、数学界の戦い】(WIRED.jp) 画期的な論文を書き上げているはずなのに、内容を理解できる研究者が(書いた本人以外には)世界に一人もいないために、「論文が正しいのかどうか」さ…

動詞としての、偏差と制度化

廣瀬浩司氏のツイッターより: 「自然と制度」(期間限定)URL2016-05-15 02:32:52 via Twitter Web Client 非常に重要な論考なので、ぜひプリントアウトして熟読してほしい。 意識のあり方が少し変わってしまうような読解体験になるはず。 以下ではこの論考…

閉じこもっての死亡事例――「50代の息子、80代の母親」

産経【新潟・三条市で男性の変死体 母も遺体で発見 息子殺害後に自殺か】(2016年5月9日11時19分) 8日夜、新潟県三条市西本成寺の無職、小林千浩(かずひろ)さん(50)が自宅で首から血を流して死亡しているのが見つかり、9日朝には同居していた73歳の母…

「医療同意は法律行為ではない」について(メモ)

【成年後見人確保へ新法成立=認知症高齢者増に対応】(時事ドットコム、2016年4月8日) 【成年後見促進法が成立 「自己決定権を侵害の恐れ」】(東京新聞、2016年4月8日) 【成年後見制度促進法が成立 なり手の育成が柱】(朝日新聞、2016年4月9日) 社説【…

映画『ヤクザと憲法』鑑賞

自分が家族を傷つけながら生きていることをしみじみと感じました。 とにかく、就職活動を続けます。 落ち込みましたが、けっして悪い落ち込み方ではないです。 話したいことは山ほどあるのですが――この映画については、 できるだけ信頼関係の中で話し合いた…

「で、その言説におけるあなたの当事者性は?」

私はずっと、 アカデミズム 当事者≒マイノリティ 運動体 この3つの触媒みたいなことをやっているつもりだったのですが*1――そういう曖昧な(というか、それぞれの境界に立とうとする)努力は、どの領域からもあまり歓迎されません。それぞれの属性領域は、そ…