2007-03-15から1日間の記事一覧

器質的主体(OS)と、精神分析的主体(PS)

OS は「Organic Subject」、 PS は「Psychoanalytic Subject」の略。 人間の認識は、「同一性」の認識と、「差異性」の認識に大別できる。 「同一性」に対しては脳の器質的なものの機能が優位。 「差異性」の認識については脳は無関係で、ソフトウェア的なも…

クオリア問題

いま、心脳問題のいちばんクリティカルな、重要なトピックと考えられている。 日本では茂木健一郎氏が旗振り役。 「主観的質感の起源を脳内に求めることが可能か?」という話。 クオリアとは、「赤の赤らしさ」や、「バイオリンの音の質感」、「薔薇の花の香…

「心の活動は、脳の活動に完全に翻案できるか?」

大まかな比喩としてパソコンで考えてみると、次のようになる。 器質因: ハードウェア(CPU) 内因: オペレーション・システム(Windows、MacOSなど) 心因: ソフトウェア(アプリケーション) パソコンが故障した場合、私たちは「どのレベルの異常か」を…

学問の倫理としての「記述の限界」

《記述》というのは、科学や精神医学でよく使う言葉。 真実を「発見する」のは科学の重要な機能であるとして、「いかに現象を記述するか」というのが非常に大事。 「記述の限界」を踏まえなければならない。 「このパラダイムでどこまで記述できるか」「ここ…

精神医学: 「原因論の三分類」

『社会的ひきこもり―終わらない思春期 (PHP新書)』は1998年末の出版だが、じつは同じ年の少し前に『文脈病―ラカン・ベイトソン・マトゥラーナ』という本を出していて、こちらが実質上のデビュー作。 これは、「心脳問題」への自分なりの回答だった。 精神医…

 斎藤環 「脳はなぜ心を記述できないか」 講演レポート 1

斎藤環 「脳はなぜ心を記述できないか」 講演レポート 日時: 3月6日(火) 14:00−16:00 場所: ユメンヌホール(大阪大学人間科学部東館 2階 207講義室) 概要: 脳科学ブームの昨今、脳で人間の心や社会が説明できるかのような言説がまかり通っている。 …